過去ログ - 【ラブライブ!】〜1レスSS キャラクターとお題を下さい〜 
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38: ◆Pv38Oo/i4M[sage]
2016/10/23(日) 19:27:42.79 ID:wF+2vj4to
 遊園地の中心はいつも騒がしい。
 まあ、それも当然か。なにせここは秋葉原の中心地にあるアキバランド。 
 何万もの人を収容できる、都内でも有数のテーマパークだ。
 辺りを見回すと、大人から子どもまでみんな楽しそうだ――その中で私だけ不安に苛まれている。
 ここ、アキバランドには一人でやって来たわけじゃない。もう一人相方がいる。その人は、私と同じグループのA-RISEのメンバーじゃない。あんじゅは山に芝刈りに、英玲奈は川に洗濯に行っている。嘘だけど。
 私の相方は、μ’sのリーダーである高坂穂乃果さん。
 二人で過ごす名目は、お互いのグループの信仰を深めるためとなっているけど、その実そうではなく――なんというか、とても恥ずかしいけど。
 デートなの♡♡♡
 学校も違うし、スクールアイドルとしてはライバル同士である私達だけれど、妙に気があって付き合い始めたの。
 そんな私達のことを、口が悪いあんじゅなどは月とスッポンだなんて言うけれど――どっちがスッポンなのかは気になるわね。
 
 ともかく私達二人は、アキバランドの視察という名目でデートをしている。
 μ'sに注目をしてからしばらく、こんなふうになるなんて思いもしなかったけど。
 東條希ちゃんとかはものすごい冷やかしてくるし、逆に花束を送っていた矢澤にこちゃんとかは、気の毒そうな視線を向けてくる。
 惚れた弱みというやつか、どんなに無理難題を言われてもついつい許してしまうのよね。そこが、気の毒――なのかもしれないけれど。
 今だって私を放っておいて、売店まで行ってしまったし。ツバサちゃんの分も買ってくるから、って言ってたけど、売店までの距離を考えるにそのことを覚えているのかどうかは怪しい。
 そんなことを言えば、あーまた満点ツバサちゃん、私のことをバカにしてーなんて言うに決まってる。その満点ツバサっていうの意味がわからないからやめてほしいと思っているのはここだけの話――クスクス。
 
「ツバサちゃーん!」
 あ。穂乃果さんが戻ってきた。
 手に握られているアイスは一つだけ、どうやら私の分はとうに記憶の彼方に飛んでいってしまったみたい。
 やれやれ、と思いながら私はここだよーって手を振る。
「はぁー、すっごい混んでたよー、さすがはアキバランドだね―」
「そうだったの、私のことなんてとうに忘れて遊んでいるのかと思ったわ」
 なんて意地悪を言ってみる。
 穂乃果さんは頬を膨らませながら唇を突き出して、
「そんなことしないよー、だって今日はデートの日だもん」
 そうだね。
 困ったことに、こういう他愛もない話をしているのが楽しい。
 一人でウダウダと考えがちな性格だから、明るくリーダーシップが合って引っ張ってくれる人だと嬉しい。
 私も一応A-RISEのリーダーなんだけどね――他のメンバーがしっかりしているものだから。なんてね。
 
「それで、今日はどこに連れて行ってくれるの?」
「ふっふっふー、ソレは見てのお楽しみだよ」
 なんだか妙な不安を感じるのは私だけだろうか。
 穂乃果さんは正直な性格だから、何かを企んでいたりすればすぐに分かる感じがする――今回の場合は、怪しげな笑いでピンときた。
 きっと、とても嫌なことを企んでいる。
 それは、多分少し迷惑になりかねないことでもあろうけど、エヘヘと笑っている穂乃果さんを見てると、ついなんとなく許してしまう。海未さんからは、あんまり甘やかすのはやめてくださいって言われてるけど――クスクス。
「こっちの道は……ずいぶん子どもが多い……」
 確か、子ども向けのヒーローショーが行われている場所だ。
 確かタイトルは……太陽戦士サンロード、とか何とか言ったっけ。
 ヒーロー物のお約束としては、女優を目指すアイドルの登竜門で、出演するとなかなかの芸歴になって優遇されるという話だ。
 だから私も――子ども向けだとバカにしないで、実はしっかりと見ている。
 もちろんあんじゅや英玲奈には秘密にしていたはずなんだけど、どこかから情報が漏れて穂乃果さんに伝わった?
 ――まさかね。

 晴れてヒーローショーを見ることになった私達は、できるだけ後ろの方の席に陣取り、多くの子どもたちの奇異の視線に包まれながら椅子に座った。
 ニッコニコの穂乃果さんを見るに、私の趣味がバレたというわけではなく、純粋にサンロードを楽しみにしてきたのだろう。そういえばμ'sの練習は朝早い時間に行われているらしいけど、日曜の朝だけは時間を確保していると言っていたっけ。
 ニチアサキッズタイムに夢中になっている高校生二人――マニアックな人はいいけど、スクールアイドルとしては決してプラスにはならないわね、こんなところで正体がバレたら大変だわ。
 それはともかく。
 開演時間になってもショーがなかなか始まらない。途端に周りにいた子どもたちが騒ぎ出す。何かがおかしい。長年アイドルとして活動してきた勘がそう告げている。
「綺羅ツバサさん、高坂穂乃果さんですね?」
 名前を呼ばれて背中がビクリと震える。
 振り返るとスタッフと書かれた腕章を付けた、眼鏡をかけた知的そうな面持ちをした女性が立っていた。
「何のことかし」
「私に何か用ですか?」
 惚けようとした私と穂乃果さんの声が重なった。
 ああ、なんか厄介事に巻き込まれるサインだわ――これは。

 司会が逃げた。
 スタッフの方はそう告げると、私達の肩を掴み。
「お願いです、スクールアイドルの二人にしか出来ないことなの。何とか場を盛り上げて欲しい」
 そう言われても――カンペもなければ台詞も覚えていない、ただ怪人の名前くらいしかわからない。



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