過去ログ - 【ラブライブ!】〜1レスSS キャラクターとお題を下さい〜 
1- 20
39: ◆Pv38Oo/i4M[sage]
2016/10/23(日) 19:28:48.39 ID:wF+2vj4to
 スタッフの人ができるだけフォローをするということだったけど、私はただただ不安でしかなかった。
 でも、穂乃果さんが、やりますと言った手前、私だけがお断りするというわけにもいかない。はあ、と一つため息を付いて。
「わかりました。出来る限りのことはやります」
「お互いにデュエットしていただいてもいいんですよ?」
 そんな自分を安売りするようなことは出来ません。

「会場のみんなー! 元気かな―!」
 穂乃果さんのマイク越しに聞こえる大きな声が会場を包み込む。散々待たされた子どもたちのテンションは最悪で、返事もまばらだ。
 超アウェーな状況に心の中だけで苦笑をする。A-RISEのライブじゃこんなことはありえないものね――でも、μ'sは確か。
「おー、返事が聞こえないぞ―! コレじゃあサンロードがやってこれなくなっちゃうぞ―!」
 途端に上がり始める返事。
 場を盛り上げるのは上手みたいだ、ちょっと悔しい。
「じゃあ、今度は私が呼ぶわよ、サンロード―!」
「「「サンロードー!」」」
 私の掛け声とともにおどろおどろしいBGMが流れ始め、舞台袖から戦闘員であるチョッカーと、怪人ヌッコロス(妙にリアル)が現れる。
「ゲハハハハ! この会場は怪人ヌッコロス様が頂いた!」
 あー、なるほどこういう流れなのね。
「サンロードは! サンロードはどうしたの!」
「そうよ、あなたなんてお呼びじゃないわ!」
「ふっふっふ、サンロードの移動用のバイクに仕掛けをして会場にはたどり着けないようにしちょるわ」
 せこい。
 そんなことができるなら毎回やりなさいよ。
「さあ、戦闘員たち! 司会のお姉さんたちと会場の子供達を人質にするのだ! あ、人質に立候補する子はいるかな? いたら元気よく手を上げるのだ!」
 
 ということで、おそらく流れの上に乗っているのだろう――私たちは怪人ヌッコロスの人質となり、多くの子どもたちと一緒にステージの上に立っていた。こんなことを言っても栓のないことだけど、人質の子どもたちはみんな楽しそうで、緊張感というものがまるで無い。
 戦闘員の人たちも、原作ではキーとしか喋れないはずなのに、足場に気をつけてね、とか、できるだけ動かないようにね、とフォローが万全だ。あんたら本当に悪の戦闘員か。
「でも、サンロードは! サンロードは必ず来てくれるわ!」
「そうだよ! みんなでもう一度呼べばサンロードは来てくれるはず!」
 流れに乗っているかどうかはわからないけど、とりあえずサンロードが来てくれないと私も司会から解放されないので、彼らが来てくれるような発言をしてみる。ちらりとスタッフのカンペを見ると、もっと粘ってと書いてある、どうしろと言うんだ。
「わかった――穂乃果、歌います」
「穂乃果さん!?」
「さあ、ツバサさんも!」
「ええ!?」
 私達の正体が一部の人にバレるどころか、ここらへんのお客さんでスクールアイドルに興味がない人がたくさんいるはずだし、唐突に司会が歌ったところで、ふーんという反応が当然だ。
「ほうほう、いい余興よ、歌うが良い司会のお姉さん!」
 お前も乗らないでいいんだよ。
 
 二人で話し合った結果、UTXで披露したユメノトビラをデュエットで歌い、さも寒々しいことになると思いながら周りの反応を見ると、口をぼんやりと開けたままの子どもたちと、シーンと静まり返る会場。
 あ、コレはやってしまったかな、と思ったその時。
 大きな歓声が辺りから上がり始めた。よく見ると、ヒーローショーが行われてる会場のすぐ近くにもお客さんが集まっていて、私達の歌を聞いていたのだと確認できる。
 あ、気がつくと戦闘員の人まで拍手してる。だからあなた達は悪の戦闘員でしょうが。
「ううむ、予想以上にいい歌だった、まるで俺も改心してしまいそうなほどに」
 ユメノトビラはそんな曲じゃないから。
 その時、サンロード登場のBGMが鳴り響き! 私達が歌ったとき以上の歓声が上がり始める。
 そうだよ、このノリだよ!
 穂乃果さんには悪いけど、ヒーローショーでヒーローが登場した瞬間が一番盛り上がるんだから。
 あ、でも、唇を突き出している穂乃果さんを慰めるという仕事ができてちょっとお得かもわからない。

 サンロードによって改心しかけたヌッコロスもやっつけられ、優しかった戦闘員たちも退散。その後司会の仕事も無難に乗りこなし、はあと一息ついていると、先程来たスタッフの人がこちらへとやって来て。
「さすがね、A-RISEのリーダー綺羅ツバサにμ'sのリーダー高坂穂乃果」
 ずいぶんと私達のことに対して詳しいな?
 多少観客の中で私達の正体に気づいた人がいたとは言え、この人は歌う前から知っている様子だったし。
「特に綺羅ツバサ……私の正体に気づかない?」
 と、スタッフの女性は髪の毛をばさっと外し、メガネを外す。
 ――ああ!
「た、高翌梨先生!」
「いやあ、毎日レッスンのときに会っているのに、気づかないなんて悲しいぞツバサ、ああ、すまんね穂乃果くんも巻き込んでしまって」
「いやあ、詳しい事情はあんじゅちゃんから聞いてたんで――」
「まさか……みんなグル……?」
「そんなことない、サンロードもヌッコロスもちゃんとしたヒーローショーのスタッフだ」
 それ以外は? とは怖くて聞けなかった。
 これはつまり、私と穂乃果さんを共演させて、どれくらいのパフォーマンスができるかというのを見るための実験。
 お、お、お金かけすぎでしょおおおおおおおおおおおおおお!!!


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
51Res/41.66 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice