30: ◆HACkWQpQbk[saga]
2016/10/22(土) 16:56:45.17 ID:1dmR7XxL0
父に連れられて村の中を巡ると住人の皆が皆パパスさん、おかえりなさい、パパスさん、おかえりなさいと英雄の凱旋の如く騒いでいる。
殊に教会のシスターの至っては当初は聖職者らしく荘厳な挨拶を述べていたが、最後にわーいわーいと子供みたようなはしゃぎ方をするには驚いた。
知らない人間に歓迎されるのは少々薄気味悪かったが、普段尊敬している父の待遇が良いのは非常にいい心持ちがした。
やがて村の中で一番大きな屋敷に着くと玄関口でやたらと恰幅の良い男が立っている。
男は周りの者と違い父を旦那様と呼んでいたのでどうやら召使の類らしい。
このサンチョ、旦那様の帰りをどれほど待ちわびたことかと碌に話もしない内に声が水気を帯びている。
そこまで主人を気に掛けるくらいならなぜ二年前の旅立ちに同行しなかったのかと聞きたかったが、泣いたり喜んだりと忙しそうなので抛っておいた。
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