過去ログ - サンチョ「坊つちやん」
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5: ◆HACkWQpQbk[saga]
2016/10/22(土) 15:10:10.66 ID:1dmR7XxL0
 文字を履修した我らは打ち棄てられた印刷物は本と云わず引札と云わず読み耽った。
 ある程度ものを読めば書きたくなるのが性分である。
 寝ているムチおとこの胸元からペンをくすねた我々は小説ともいえぬお粗末な散文を互いに読ませ合った。
 何分読むことだけは必死になって反復していたので形だけは立派だ。
 ヘンリーは派手な小説を好んでいたので砕けた文体だが、私はある小説家をえらく気に入ったのでそれを真似ている。
 色々なジャンルに挑戦しては批評を重ねる内、ある時過去の自分の体験談を書こうと云うことになった。
 六の年から奴隷として働いているので必定それより昔の話となるが、ヘンリーはいや、俺の生涯は今と変わらぬほど退屈だったから君が書き給えよと云う。



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