1: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 10:55:54.80 ID:NulSUMNso
・「走れメロス」のパロディです
・若干強引な部分もありますがご容赦を
・転載はご遠慮願います
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 10:56:54.15 ID:NulSUMNso
茜は激怒した。
必ず、かの邪智暴虐の専務を除かねばならぬと決意した。茜には経営が分からぬ。茜は夕陽を追い、ラガーマンと遊んで暮らしてきた。そのうえ邪悪に対しても、人一倍に鈍感であった。
ガチャ
3: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 10:57:46.65 ID:NulSUMNso
茜「うおおおお燃えてきましたー!」
専務「……わかった、もう好きにしたまえ。君のその情熱で彼女の輝きが更に増すというのなら、私にとっても不都合な話ではない」
茜「おや!? その言い方はもしや! 私を信用していない!? どうせ無理だと! そう言いたいんですね!?」
4: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 10:58:25.11 ID:NulSUMNso
茜「ユッコちゃん! いい所に来てくれました!」
裕子「茜ちゃんの助けを求めるテレパシーを感じました!」
専務「声が聞こえただけだろう。彼女の声はいささか大きすぎる」
5: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 10:59:20.86 ID:NulSUMNso
茜はその後、一休みもせず事務所の中を探しに探して、卯月がカフェにいる事を知ったのは、その日の正午、陽は既に高く昇って、ニュージェネレーションズは昼食を終えて談笑を始めていた。メンバーの1人である卯月も、その日はメンバーと共に雑談に華を咲かせていた。よろめいて歩いて来る茜の、疲労困憊の姿を見つけて驚いた。そうして、うるさく茜に質問を浴びせた。
茜「何でもありません! しかし、私はすぐに戻らないといけません! 卯月ちゃんにも一緒に来てもらいます! 卯月ちゃんは元気でしょうか!?」
卯月は首をかしげた。
6: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 10:59:57.85 ID:NulSUMNso
茜は更に押して頼んだ。ニュージェネレーションズの二人も頑強であった。なかなか承諾してくれない。昼休憩が終わるまで議論を続けて、やっと、どうにか二人をなだめ、すかして、説き伏せた。
卯月「それじゃ凛ちゃん未央ちゃん、島村卯月、行ってきます!」
島村卯月の、二人への宣誓が終わった頃、黒雲が空を覆い、ぽつりぽつり雨が降り出し、やがて車軸を流すような大雨となった。カフェで休憩していたアイドル達は、何か不吉なものを感じたが、それでも、めいめい気持ちを引き立てて、狭いカフェの中で、むんむん蒸し暑いのもこらえ、陽気に歌をうたい、手を拍った。茜も、満面に喜色をたたえ、しばらくは、専務との約束をさえ忘れていた。
7: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 11:00:40.93 ID:NulSUMNso
―
卯月「茜ちゃん! 茜ちゃん起きてください!」
目が覚めたのは午後の2時を過ぎた頃である。茜は跳ね起き、南無三、寝過ごしたか、いや、まだまだ大丈夫、これからすぐに出発すれば、約束の刻限までには充分間に合う。今日は是非とも、あの専務に、卯月のアイドルとしての素質を見せてやろう。そうして笑ってステージに上がってやる。
8: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 11:01:25.21 ID:NulSUMNso
茜は、卯月の疑問をせせら笑う如く、ますます激しく燃え盛る。雑巾を用意し、拭き、バケツに搾り、そうして時は刻一刻と消えていく。今は卯月も覚悟した。拭き切るより他に無い。
卯月「島村卯月、お掃除がんばります!」
ああ、神々も照覧あれ! 水溜まりにも負けぬ愛と誠の力を、いまこそ発揮して見せる。茜は、ざんぶと階段に飛び上がり、百匹の蚯蚓のように広がり流れ滴る水を相手に、必死の闘争を開始した。満身の力を腕にこめて、なんのこれしきと拭き取り拭き取り、めくらめっぽう獅子奮迅の人の子の姿には、神も哀れと思ったか、ついに憐愍を垂れてくれた。
9: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 11:01:57.00 ID:NulSUMNso
きらり「にょわー! 茜ちゃん、見付けたにぃー!」
茜「きらりちゃん! 何の用でしょうか! 私は専務の終業時間までに専務室に行かなければならないんです! 通してください!」
莉嘉「でもでも〜、リカ達、茜ちゃんを見付けたら呼ぶようにって言われてるんだよね〜」
10: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 11:02:42.77 ID:NulSUMNso
一気に廊下を駆け抜けたが、流石に疲労し、窓から午後の灼熱の夕陽がまともに、かっと照って来て、茜は幾度となく眩暈を感じ、これではならぬ、と気を取り直しては、よろよろニ、三歩あるいて、ついに、がくりと膝を折った。立ち上がる事が出来ぬのだ。天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。
卯月「茜ちゃん、大丈夫ですか!?」
茜「申し訳ありません卯月ちゃん! 階段を拭き切り凸レーションズの三人を押し倒し韋駄天ここまで突破して来ましたが、私は疲れ切ってしまいました! ここで動けなくなるなんて情けないです!」
11: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 11:03:16.56 ID:NulSUMNso
茜「私はユッコちゃんを欺きました! 中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事です! ああ、もうどうでもいいです。これが私の定まった運命なのかも知れません! ユッコちゃん、許してください。ユッコちゃんはいつでも私を信じてくれました」
卯月「茜ちゃんとユッコちゃんは、本当に良い友達だったんですね」
茜「いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿した事はありませんでした! 今だって、ユッコちゃんは私を無心に待っているでしょう! ああ、待っているでしょう! ありがとうございますユッコちゃん! それを思えばたまりません! 」
12: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 11:04:04.29 ID:NulSUMNso
茜「ああ、もういっそ、他事務所から再デビューしてやりましょうか。巷には私のファンがいます。ラグビー仲間もいます。芸能界は、まさか私を追い出すような事はしないでしょう」
茜「情熱だの、熱血だの、根性だの、考えてみれば、くだらない事です。自分を殺して偽って生きる。それが芸能界の定法ではありませんか」
茜「ああ、何もかも、馬鹿馬鹿しいです。私は、醜い裏切り者です。どうとも、勝手にしてください」
13: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 11:04:38.19 ID:NulSUMNso
ほうと長い溜め息が出て、夢から覚めたような気がした。
茜「歩けます。行きましょう!」
肉体の疲労回復と共に、わずかながら希望が生れた。義務遂行の希望である。わが身を殺して、名誉を守る希望である。
14: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 11:05:42.53 ID:NulSUMNso
−
茜「私は信頼されています! 私は信頼されています! 先程の悪魔の囁きは、あれは夢です!」
卯月「そうです! あれは悪い夢です! 忘れてしまいましょう! 疲れている時は、ふいとあんな悪い夢を見てしまうんです! 茜ちゃん、茜ちゃんの恥じゃありません! やっぱり茜ちゃんは凄いアイドルです! また立って走れるようになったじゃないですか!」
15: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 11:06:33.01 ID:NulSUMNso
文香「もしかして、専務室に何か御用でしょうか……? 私も所用があって先ほどまで専務室にいましたが、専務はそろそろ、会議の時間だと仰っていました……。裕子さんも、もうすぐ出てくるのではないでしょうか……」
茜「いいえ! まだ間に合います!」
文香「しかし……専務という役職は忙しいものですから……できれば会議が終わってからの方が、良いのではないでしょうか……?」
16: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 11:07:19.72 ID:NulSUMNso
茜「待ってください! ユッコちゃんをクビしてはいけません! 約束の通り、卯月ちゃんを連れてきました!」
専務「……どうして同じ事務所内を移動するだけでこんなに時間がかかるんだ」
茜「さぁ専務! これでユッコちゃんはもちろん、卯月ちゃんのクビも取り消してもらえますね!?」
17: ◆WlH5kArGpE[sage]
2016/10/29(土) 11:08:14.93 ID:NulSUMNso
専務「……君らの望みは叶ったぞ。満足したなら早く出ていっ……」
卯月「あ、そういえば専務さん。途中できらりちゃん達からトレーナーさんが呼んでるって聞いたんですけど、私の事だったんでしょうか?」
専務「ん? いや……」
18:名無しNIPPER[sage]
2016/10/29(土) 12:26:22.24 ID:V75gv03aO
面白かった
SSで転載禁止は珍しいな
19:名無しNIPPER[sage]
2016/10/29(土) 15:29:31.08 ID:BLHWJs/s0
やっぱPaってアホの子だわ
乙乙
20:名無しNIPPER[sage]
2016/10/29(土) 15:33:36.42 ID:vz5+JHt3O
常務を可哀想に思ったの初めてだわ
21:名無しNIPPER[sage]
2016/10/29(土) 18:03:09.90 ID:/rtuLaqA0
美城さんが専務…騒ぐにゃ遅すぎる
26Res/21.91 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。