過去ログ - 古風な愛 【原著:星新一 ・ ごちうさ訳】
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◆n0ZM40SC3M
[sage saga]
2016/10/29(土) 18:37:23.90 ID:MgkQzc3L0
それから私が高校三年になった春のある日、いつもの公園を散歩しているとき、チノちゃんは何度もためらったあげく、わたしにささやいた。
「愛しています」
「わたしだってそうだよ」
「結婚したいです」
彼女はぽつりと言った。
これだけ口にするのに、心の中でどんなに努力をしたことだろう。
声には動悸の激しさが含まれ、美しい顔はこわばっていた。
「わたしもだよ」
わたしが答えると、チノちゃんの顔にうれしさが一杯にひろがっていった。
「本当ですか」
「本当だよ。だけどね、ちょっと……」
わたしが言葉を濁すと、チノちゃんは心配そうにわたしを見つめた。
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