過去ログ - 鷺沢文香「とりっくorとりーとor……?」
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6: ◆TOYOUsnVr.[saga]
2016/10/31(月) 22:50:12.12 ID:Yzl0qw5G0

コーヒーをぐいっ、と飲み干して「さぁ、やるか」と椅子に深く座り、マウスに手をかけたところで不意に声をかけられた。

「…お疲れ様でした。大盛況でしたようで……ふふ」

バレンタインのときのお仕事で着ていた小悪魔風衣装に身を包む文香がそこにはいた。

「あれ、わざわざ来てくれたのか」

「ええ、ありすちゃんからプロデューサーさんがいらっしゃったことを聞いたので」

「あー、なるほどね。喜んでた?」

「ええ、とても」

「そりゃよかった。わざわざありがとな。幸いお菓子は少しだけ余ってるから、トリックオアトリートしてく?」

「……では、お言葉に甘えて」

文香は襟を正して、少し悪戯っぽい笑みを浮かべて、すすすっと俺の側面に回り込んだ。

何をされるのだろうか。

内心どきどきしていると、文香は彼女の唇と俺の耳とが触れんばかりの距離まで顔を近付け、「………とりっくおあとりーと」と囁いた。

どうやらこの「トリックオアトリート」は相当の覚悟を以ての決行であったようで、文香は耳まで真っ赤になって手のひらで顔の熱を冷ましている。

本当に心臓に悪い。

「びっくりした……」

我に返り、なんとか絞り出せたのはそんな陳腐な感想であった。

「………あの、すみません。お気に召しませんでしたでしょうか」

「いや、めちゃくちゃどきどきしたよ。心臓吐きそうなくらい」

「…であれば、僥倖です」

「で。あれは誰の入れ知恵?」

「……奏さんに」

これは、速水さんの担当に報告だな。



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