過去ログ - 「死屍累々、全てを呑み込むこの街で」
1- 20
37: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2016/11/16(水) 15:21:55.24 ID:AFd/Hqam0
その次の夜、老人は酒場で酒を飲んでいました。

一人ちびちびと飲んでいた所、突如乱暴にドアが開かれました。そこには男が立っています。

「ジジイ、表に出ろ」

「ほぇ?」

「――いいから表に出ろや」

「……ヒヒッ!!」

男の只ならぬ様子を見て、老人は思わず感情が高ぶりました。


案内されたのは広い平地です。此処なら暴れても問題なさそうです。

「どうしたんじゃあ? 随分ぷりぷりしておるのぉ」

「俺は、あんたを超えてやる」

「おぉ? また博打でボロ負けしたのか?」

「行くぜ!!」

老人の言葉を遮り、男は最初からジャバウォックの姿に戻ると、炎を纏って大砲のような体当たりをしかけました。

しかし、老人は顔色一つ変えずに魔力の大玉でそれを弾き返します。

「ガァ!!」

吹っ飛ばされている最中、地面に右手をついて体制を直した男は、空に向かって深紅の火球を打ち上げました。

なんじゃ、と見上げる隙だらけの老人に対し、さらに距離を詰めて右腕を振るいました。爆風を纏った鉤爪が老人に襲いかかります。

(爆風で物理攻撃の範囲を広げるか。ふむ、悪くないの)

老人はにまりと笑うと、結界でそれを防ぎました。ばちっと右腕に電撃が走ります。

(クソが!)

苛立った男は、さらに威力を上げた左腕でそれを破壊します。しかし、その爪が老人を捉える事はありませんでした。

ゆらゆらと、まるで宙を舞う揚羽蝶のように滑らかな動きで、男が振り回す腕をすり抜けていきます。

(まだ人間体のくせに……的が小さい分当て辛いか)

「だったら――」

男は大きく息を吸うと、火属性の魔力を変化させてマグマのブレスを放ちました。

どうやら新技のようですね。粘性のあるどろりとしたマグマが辺りに飛び散ります。相手の足場を手っ取り早く奪おうという考えでしょうか。

回避した老人は宙に浮かぶと、指先から魔力の球を放ちます。凄まじい速度で男の身体に激突し、ポポポポポッと小さな連鎖爆発を起こしました。

「うむ、足場を奪うだけでも飛べない相手は苦しくなる」

「それに、マグマなら結界にしつこく絡みつく……考えたの、おぉ怖い」

(――よく言うぜ!!)

衝撃で身体がふらつきます。それでも男の目は全く死んでいません。

まだあんたのための必殺技を使ってねえんだぞ、と男は巨大な咆哮を挙げました。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
56Res/58.30 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice