過去ログ - 「死屍累々、全てを呑み込むこの街で」
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41: ◆XkFHc6ejAk[saga]
2016/11/17(木) 14:50:06.42 ID:CbSsyhlG0
男はいつのまにか、ミゼルと呼ばれる男のペースに乗せられてしまいました。

さっさと殺して街に向かうつもりでしたが、このミゼルと呼ばれる男の言葉は、人を惹きつける何かがあるので御座います。

「俺は、ごみ捨て場を彷徨っているある日、「この街の真実」とやらを見つけてな」

「それは誰かの遺書のようなものだが……妙に信憑性を感じてね。それにはこう書いてあった」

「この街に潜む「それ」は、人の負の気をエネルギー源としている」

「そして、それを常に吸収し続けるために、自らを大地として闇の街を造り上げた」

――あの時計台に触れると殺されるのも、そうして恐怖を吸収するためだったのか。男は小さく舌打ちをします。

「……仮にそれが本当だとしても、お前らの目的が見えてこねぇ」

ミゼルと呼ばれた男はくすりと笑うと、脚を組み直してこう言いました。

「この街を引っ掻き回すだろう、そうすると人々は恐怖や憎しみが溢れだす」

「何せ今回はこの街を埋め尽くすような規模だ。とんでもない負の気が発生する」

「そうやって、その何かに刺激を与えてみようと思ったんだ」

男は絶句しました。そんな事をすれば……

「そう、もう気付いたよな。悪い奴らはみーんな死んでジ・エンドさ。あははははは」

「お前……」

狂気に囚われてやがる。男は目の前のミゼルと呼ばれる男に、得体のしれない闇を感じました。

よく見ると、左目の瞳も真っ黒に濁っています。視力を失っているのでしょうか?

それで、どうするんだ? ミゼルと呼ばれる男は笑って告げます。

「俺を殺すか? もう手遅れだけどな。君は最期に会いたい人は居ないのかい?」

「……」

「どうせ何もかもが終わるんだ。君も好きに生きると良いさ」

その言葉を聞いた瞬間、男は街の方に飛び立って行きました。


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