17: ◆8dLnQgHb2qlg[sage saga]
2016/11/08(火) 09:24:48.64 ID:i56WKjGq0
「ここだよ」
美波さんの案内で来たのは、スタンド席の外の通路だった。
会場前で人気のない通路の壁に沿って、フラワースタンドが並んでいる。
「まるでお花畑みたい。
いろとりどりのお花が、こんなにたくさん……すてきー……」
ずっと向こうまで続くお花の列は、主に白と青と、それから黄色。
「こんなにたくさんのフラスタは初めて見たかな?
ここにあるフラスタは『アインフェリア』に贈られたものもあれば、私達個人に贈られたものもあるの。
夕美ちゃんに贈られたのだって、こんなにたくさんあるんだよ」
美波さんがフラワースタンドを一つひとつ眺めながら歩いていく。
いつも私のライブで見ている名前もたくさんあって、それを見ると今まで以上にやる気が出て来る。
数百人や数千人から贈られると、それだけの人の期待を背負っていると同時にこれだけの人から温かく応援されているって実感できるから。
「夕美ちゃんは『アインフェリア』の一員としてこれだけの人達に認められて、必要だって思われてるの。
どう? 少しは緊張は解れたかな?」
「私の名前、こんなにたくさん見たことありませんでした。
期待には応えなきゃ、ですよね!」
夕美ちゃんの顔つきが変わった。
これなら、本番も大丈夫かな。
「でも、笑顔は忘れずにね?」
「藍子ちゃんに言われなくっても!」
「あの……2人とも? 今日はクールに、だからね?」
「あっ……意識すると、笑ってしまいそうですよね」
「藍子ちゃんがここで裏切るの!?
夕美ちゃんもって言わないよね?」
「あ、あははー……私はもうちょっとお花を見てきますね。
こうしてると元気を貰えますから!」
夕美ちゃんが私達を置いて歩いていった。
半分は言った通りなんだろうけど、半分は美波さんから逃げるためのような気がする。
「藍子ちゃんもそのマイペース、今日は自重しよっか?」
「私はしっかりするところはしっかりしてますよっ」
「油断すると時の魔術を使われそうなんですけど?
もう、リーダーも楽じゃないんだからね?」
「みひゃひはん、ほっへはひゃへへふははい」
「まだメイクもしてないんだからいいじゃない。
あ、これ意外と面白いかも……」
……………
………
…
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