過去ログ - 【ペルソナ5 佐倉双葉SS】ケスラー・シンドローム;Surrender
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名無しNIPPER
[sage saga]
2016/11/08(火) 22:00:26.84 ID:GQKrCOd/o
隣の部屋から小さな泣き声が聞こえた。
キーボードから手を離し、椅子の背もたれを限界まで倒して背伸びをする。骨の間の気泡が抜けて乾いた音を立てた。
以下略
3
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2016/11/08(火) 22:01:13.50 ID:GQKrCOd/o
それからしばらく待ったが、メソメソしているだけで続きの言葉は出てこない。これは言ってもいいことなのか迷ってるんだろうなぁ。
「嫌なことでもあった?」
ふるふる。艶のある滑らかな、オレンジがかった茶色の長い髪が左右に揺れた。かわいい。
以下略
4
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2016/11/08(火) 22:02:11.17 ID:GQKrCOd/o
「うん。それはもう、かつてないほどこわかったですよ……」
妙に大人びた言い方に、ふっと頬が緩んだ。
「だよね、怖いよね。それね、たぶんお母さんのせいなんだよ」
以下略
5
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2016/11/08(火) 22:03:12.19 ID:GQKrCOd/o
何故なら、わたしが心からそう思っているからだ。
わたしは先天的に、特殊な脳を授けられて生を受けた。
以下略
6
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2016/11/08(火) 22:03:56.69 ID:GQKrCOd/o
それは、サヴァン症候群やアスペルガー症候群、瞬間記憶能力───通称カメラアイと呼ばれる───のようなものではなく、一定の割合で生まれる"ギフテッド"、通常の才能の延長だったようだ。
それはつまり、類稀な計算能力や記憶力と引き替えに、記憶を引き出す際に感情的になる等の副作用、有り体に言えば"障害"と呼ばれるようなマイナス面がないことを意味していた。
ただし実際にわたしがそうであったように、周囲とあまりにも違いすぎることによる軋轢と思春期特有の悩みは避けられないだろうけども。
以下略
7
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2016/11/08(火) 22:06:11.03 ID:GQKrCOd/o
これを、天命だ、世のため人のために役立てる必要があるんだ、立派な仕事に就けるよう育ってくれ、なんて高尚なことは考えていないし、そんな世の理不尽や不条理に折られそうな綺麗事をこの子には託したくない。
ただ、この子がこの才能を憎むようなことはあってはならない。才能を呪うような事態だけは避けなければならない。だってそんなの、あまりにも悲しすぎる。寂しすぎる。
遺伝でそうなったと確たる事実はなくとも、わたしのせいであることをわたしは知っている。だからわたしのためにも、なによりこの子のためにも、この才能と向き合い、悪いものなんかじゃないと信じてほしい。受け入れてほしい。そう考えていた。
以下略
8
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2016/11/08(火) 22:07:09.15 ID:GQKrCOd/o
「……そうなんだ」
この幼い我が子はどこまで理解しているのか、目を見開いて驚いたように言葉を発した。
「そうなの。たぶん、あと何年かしたら、こんなのいらなかった、みんなと一緒がよかったって思うこともあると思う。そんなときはお母さんの言葉を思い出して?」
以下略
9
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2016/11/08(火) 22:08:46.84 ID:GQKrCOd/o
「なんでもないよ。…………うん。その通り。やっぱり……、よかった。大好きだよ」
「うん! わたしもおかあさんだいすき!」
言葉の通り満面の、弾けてしまいような笑顔を見て確信した。この子はわたしの一部なんだ、もう。
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10
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2016/11/08(火) 22:09:52.46 ID:GQKrCOd/o
男の人の声だ。わたしはこの声を知っている。
「えー、おなじのたべたい。まあ、たぶんどっちもおいしいからだいじょぶ!」
…………葉。…………葉!
以下略
11
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2016/11/08(火) 22:11:46.31 ID:GQKrCOd/o
「ったく毎日毎日……。ちっとは自分で起きらんねぇのかよ。ほら、高校行くんだろ?」
そうだ。わたしは高校を卒業しなきゃなんないんだ。
約束ノート、あいつに渡しちゃってるからな。
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12
:
名無しNIPPER
[sage saga]
2016/11/08(火) 22:12:36.48 ID:GQKrCOd/o
「おう、おはよう」
低血圧なわけではない。と思う。けど、去年の一年間に体得した夜型の体内時計はなかなか修正されないままだ。
ゆえに朝はキライだ。引きこもっている間は心理的に追い詰められていたので幸せなんて口が裂けても言えなかったけど、好きなだけ惰眠を貪れていたことだけは幸せだったのかもしれない。
以下略
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