過去ログ - 【ペルソナ5 佐倉双葉SS】ケスラー・シンドローム;Surrender
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57:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 15:32:15.17 ID:R5q4UVjHo
「今日は午前だけ。さらに明日は創立記念日で休みだから、着替えてこっちにきた」

 明日は土曜日だ。つまり、明後日は。

「えっ! とと、ということは……」
以下略



58:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 15:33:27.50 ID:R5q4UVjHo
「そ、そっか。じゃあ……帰るか。別にいい、だいじょぶ。わたし、おうち好きだし」

 わたしは今(´・ω・`)こんな顔をしてそうだ。ショボーンの気持ちがよくわかる。

「……そのうちお金貯めて自分の車買うからさ、それから行こう。約束」
以下略



59:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 15:35:09.94 ID:R5q4UVjHo
 こういう感覚、お母さんがいなくなってからほとんどなかった。ずっとわたしの目の前は道もなくて、真っ白か真っ暗かのどっちかだった。

「オマエ、車買うの? カネは?」

「バイトだな。まあなんとかするよ、高いの買うつもりはないし。……メメントスがあればカツアゲで楽に稼げたんだが」
以下略



60:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 15:36:53.24 ID:R5q4UVjHo
 二人の会話に割り込むようにして声を出した。

「なに?」

「どっか寄る、まではいいからさ。ちょっとだけ、遠回りしてかえろーよ。ドライブ、楽しい」
以下略



61:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 15:37:57.62 ID:R5q4UVjHo
 このとき確かに、わたしの心に空いた穴が塞がったような気がした。足りなかったのは、やっぱりあれか。胸のトキメキ、みたいなやつか。乙女心、難しいな。勉強せねば。



「ただいまー」
以下略



62:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 15:39:21.90 ID:R5q4UVjHo
「毎日は無理だけど、明日も行くよ。もっと路上の運転慣れたいし」

「俺はやだよ、めんどくせぇ。甘えんな」

 そうじろうは甘くなかった。まあ、ほんとに甘すぎても胸焼けするしな。たまに苦いぐらいで十分だ。
以下略



63:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 15:41:20.14 ID:R5q4UVjHo
 部屋はそうじろうが何回か掃除をしてたぐらいで、基本的には手付かずのまま残してあった。いつでも帰ってこられるように、と思っていたのはわたしだけじゃないってことだ。

「なにも変わってねーなー。ベッドも布団もあるし、ご主人には感謝だな」

 モナが鞄から飛び降りて手すりに座った。指定席だ。
以下略



64:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 15:43:59.30 ID:R5q4UVjHo
 勇気を出して最初のコンタクトをとったチャットの内容も、思いきって押し入れから飛び出たのに予想と違って引っ込んだあの恥ずかしさも、たくさん話したときのみんなの表情も、全部だ。

 未だに整理しきれない場面の数々。切り取られた写真のような記憶の欠片。そのどれもに、みんながいる。モナがいる。こいつがいる。

 たぶん、同じように、みんなの思い出にもわたしがいる。わたしはそこでも生きてる。
以下略



65:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 15:45:16.27 ID:R5q4UVjHo
 言いたいことはたくさんあるのに、全然言葉になってくれない。

「その……、あれ、えーと……」

「おーい、飯出来たぞ、降りてこい」
以下略



66:名無しNIPPER[sage saga]
2016/11/13(日) 15:47:09.64 ID:R5q4UVjHo
「……うん。さー、ご飯だご飯」

 気にしないようにわざと能天気な声を出して階段に向かう途中、不意に手に何かが触れた。

「はわあっ、なな、なに!」
以下略



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