6:名無しNIPPER
2016/11/13(日) 23:11:04.05 ID:3JahAVL60
きらり「……寝たみたいだにぃ。今日の収録、激しかったから」
武内P「そうですね。事務所まではしばらくありますし、寝かせておいてあげましょう」
いつの間にか静かになった後部座席の様子をバックミラーで確認し、きらりは微笑んだ。
そのまま目線を横に向けたきらりは、プロデューサーの顔の強張りに首を傾げる。
7:名無しNIPPER
2016/11/13(日) 23:14:19.53 ID:3JahAVL60
関節が白く透けるほどに強くハンドルを握り締め、汗を掻きながらそう言った彼の顔に、数秒前までの
笑みはない。ただ緊張と、恐怖だけがそこにあった。
尋常ならざるその雰囲気に返す言葉もなく、きらりはポシェットからスマホを取り出し、発信ボタンを押した。
8:名無しNIPPER
2016/11/13(日) 23:16:12.56 ID:3JahAVL60
みりあ「きゃっ!どうしたの!?」
莉嘉「事故っちゃうよ!車とめてよ!」
きらり「二人とも、頭を守るにぃ!危ないから!」
蛇行運転を続けた時間は、数秒にも、数時間のようにも、きらりには感じられた。
9:名無しNIPPER
2016/11/13(日) 23:16:52.16 ID:3JahAVL60
きらり「Pちゃんが今がんばってるから、凸レーションも頑張るにぃ!」
ユニット名を聞いた二人が立ち直る。自分は無力な少女であるが、同時にアイドルでもある事を
思い出す。そして、この車のハンドルを握るのが、誰であったかも。
10:名無しNIPPER
2016/11/13(日) 23:18:10.28 ID:3JahAVL60
きらり「莉嘉ちゃん!みりあちゃん!大丈夫!?」
莉嘉「私は大丈夫だけど、みりあちゃんが!」
痛む肩を堪えて振り返ると、莉嘉が必死の形相でぐったりしているみりあを揺さぶっている。
みりあの鼻梁を血が伝う。そういえばこの間、鼻をアライグマに引っかかれかけた、って話をしたっけ、と
11:名無しNIPPER
2016/11/13(日) 23:19:04.09 ID:3JahAVL60
きらり「莉嘉ちゃん!みりあちゃん!大丈夫!?」
莉嘉「私は大丈夫だけど、みりあちゃんが!」
痛む肩を堪えて振り返ると、莉嘉が必死の形相でぐったりしているみりあを揺さぶっている。
みりあの鼻梁を血が伝う。そういえばこの間、鼻をアライグマに引っかかれかけた、って話をしたっけ、と
12:名無しNIPPER
2016/11/13(日) 23:20:13.43 ID:3JahAVL60
運転席に人はない。ただ、車からゆっくりと離れるプロデューサーが見えた。
きらり「Pちゃん!どこ行くにぃ!みりあちゃんが怪我して……血が……!」
武内P「諸星さん! 申し訳ありません。2人を連れて逃げてください!」
13:名無しNIPPER
2016/11/13(日) 23:21:48.80 ID:3JahAVL60
腕は2本、足も2本、しかし全くといって良いほど、きらりは親近感を感じない。
同じヒトではないのだと、本能が警告する。
アスファルトに立ち上る高温の陽炎の向こう側に、異形が立っていた。
きらり「……逃げきゃ!」
14:名無しNIPPER
2016/11/13(日) 23:23:06.94 ID:3JahAVL60
爆音と、何かが焦げる臭い。
異形と対峙するプロデューサーの周囲を火柱が囲む。きらりと莉嘉は、逃げることも忘れて、
その常識外れな景色を眺める。
逃げ場がないプロデューサー。窮地に陥った相手を前に、その異形は、きっと笑みを浮かべていたことだろう。
15:名無しNIPPER
2016/11/13(日) 23:24:12.25 ID:3JahAVL60
けたたましいタイヤの悲鳴とともに、異形が真横に吹き飛ばされる。
バイクにまたがっていたのは、鮮やかな緑のライダースジャケットに身を包んだ女性。
ヘルメットを取ると、その特徴的な三つ編みが背に流れる。
いつの間にか火柱は消え、プロデューサーは安堵の息をつく。
16:名無しNIPPER
2016/11/13(日) 23:25:33.44 ID:3JahAVL60
武内P「諸星さん!彼女を頼みます!」
大きく踏み込んだプロデューサーは、向かってくるちひろの勢いそのままに彼女の腰をホールドすると、その場で大きく回転し、
きらりの方へ投げ飛ばした。
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