過去ログ - モバP「カミさんとピクニック」
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1: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:03:35.05 ID:JEvkc/8yo
どこかの夫婦のお話、続き物です

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2: ◆XUWJiU1Fxs[sage]
2016/11/16(水) 00:04:20.92 ID:JEvkc/8yo
 俺が中心となって動いていたプロジェクトもとりあえずの成功を収め、久方ぶりの休日を明日に控えた夜のこと。

「明日は天気がいいらしいからピクニックに行こう」

「また唐突だなー、おい」
以下略



3: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:04:54.57 ID:JEvkc/8yo
 時間が許すのであれば京都に行って鮮やかな紅葉を見たいって気持ちもあったが、日帰りだと却って疲れてしまうだろうと思って近くの公園を選んだのだ。電車でひと駅の距離だけど歩いて30分くらいかな。ちょうどいい運動にもなるかもしれない。

「俺もここんとここ事務所やスタジオに篭もりっきりだったし、そろそろ光合成しないと」

「光合成って。植物かっての」
以下略



4: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:05:56.69 ID:JEvkc/8yo

「んん……」

「おーい、起きろよなー。言いだしっぺはそっちだろ?」

以下略



5: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:09:10.21 ID:JEvkc/8yo
 朝ごはんを食べて歯を磨いて着替えて。ピクニックに行く準備は万全。後はカミさんの着替えを待つだけだ。外の空気はすっかり冬が来たように冷たいけど、柔らかな陽の光が降り注いでいて心地よさがある。キュートでアホ毛な彼女みたいに日向ぼっこをするのも悪くなさそうだ。

「お待たせ、行こっか」

「ん? そんな服持ってたっけ?」
以下略



6: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:09:55.77 ID:JEvkc/8yo

『これすっごく似合うって! 着ちゃいなよ!』

『うん。奈緒にピッタリだと思う』

以下略



7: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:10:36.10 ID:JEvkc/8yo
「あたし人妻だぞ? なのにこれ若すぎるって」

「でも着てきたってことは、俺に見せたかったってことでしょ? 似合っているよ、カワイイ」

「にゃ!?」
以下略



8: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:11:25.74 ID:JEvkc/8yo
「こんな格好で歩いていちゃ絶対皆に笑われるよ……」

「そうやってもじもじしている方が余計目立つと思うけどなぁ。大体この辺の人は奈緒の事知っているんだし、今更じゃない?」

「そうだけどさぁ……」
以下略



9: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:12:11.20 ID:JEvkc/8yo
「おはようございまーす!」

 俺たちの隣を半袖半パンの小学生たちが駆け抜けていく。肌寒いというのに、元気なことだ。

「元気なことで。若いのう」
以下略



10: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:13:18.90 ID:JEvkc/8yo

「子供の頃って何でも出来る! って思っていたんだよ。野球なんてやったことがないのにプロ野球選手になって綺麗な人と結婚したい、とか警察になって悪い人を捕まえて綺麗な人と結婚したい、とかカリスマ美容師になって綺麗な人と結婚したい、とか」

 言うまでもなく、小学生の頃の俺はアホだった。

以下略



11: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:14:02.34 ID:JEvkc/8yo

「奈緒の方は、どんな夢を持っていたんだよ」

「憶えているけど……ダメだ、絶対に言わないからな!」

以下略



12: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:14:39.72 ID:JEvkc/8yo

「わ、悪いか!? 魔法少女になりたいなんて夢を持ってて悪いか!?」

「いや、誰もそんなことは言ってないだろ!」

以下略



13: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:15:07.88 ID:JEvkc/8yo
 自然公園に着く頃にはカミさんもすっかり上機嫌になっていた。着く前に買ってあげた焼き芋が美味しかったというのもあるかもしれないけど。

「こうやって見ると壮観だなあ。落ち葉の絨毯ってやつ?」

 カミさんが言うように、落ち葉にあふれた場所はふかふかの絨毯にも見えて暖かそうだ。
以下略



14: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:15:47.74 ID:JEvkc/8yo
「おお、準備がいいこと。でも大丈夫かー? 運動不足の30歳にはちょっと辛いんじゃないの?」

 カミさんはラケットを持ってニヤニヤと煽るようなことを言う。確かに30歳で体力も落ちてきているなあってのは身を持って感じてはいるけども。

「むっ、言ってくれるじゃないか。これでも高校時代はテニス部だったんだぞ」
以下略



15: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:17:01.37 ID:JEvkc/8yo

「ま、負けました……」

「おいおい、大丈夫かぁ? 息も切れ切れだぞ?」

以下略



16: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:17:52.52 ID:JEvkc/8yo

 カミさんに言われるままに落ち葉の絨毯に寝転がる。思っていたよりもふかふかして気持ちがいい。ぎゅっぎゅっと背中に感じるカミさんの重みが硬くなっている体を解していく。

「んっ……」

以下略



17: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:18:21.19 ID:JEvkc/8yo
 そんなこともあったなあ、と笑いながら時間はのんびりと過ぎていく。カミさんのマッサージのおかげで体も少し楽になった気がする。時計を見ると12時を回っていて、お腹もいい具合にすいてきた。

「今日はピクニックだからな」

 とカミさんが開けたお弁当箱にはまん丸なおにぎりに卵焼き、タコさんウインナー、からあげ、フルーツ……。
以下略



18: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:18:53.91 ID:JEvkc/8yo
 朗らかな陽気に包まれて食べるお弁当はどんな高級料理よりも美味しく感じる。それもこれも、作ったのがカミさんで一緒に食べているからこそなんだろうな。

「こうやってお昼を一緒に食べるのも、久しぶりだよなー」

「そうだなぁ。休みなんて殆どなかったから」
以下略



19: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:19:31.61 ID:JEvkc/8yo

「ふぁあ……寝てたのか」

「奥さん残して寝ちゃって、薄情な旦那様だぜ」

以下略



20: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:21:47.52 ID:JEvkc/8yo

「でもその方があたし達らしくないか?」

「それもそうか」

以下略



21: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:22:16.61 ID:JEvkc/8yo
以上になります。お付き合いいただいた方ありがとうございました。それでは失礼いたします。


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