8: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:11:25.74 ID:JEvkc/8yo
「こんな格好で歩いていちゃ絶対皆に笑われるよ……」
「そうやってもじもじしている方が余計目立つと思うけどなぁ。大体この辺の人は奈緒の事知っているんだし、今更じゃない?」
「そうだけどさぁ……」
9: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:12:11.20 ID:JEvkc/8yo
「おはようございまーす!」
俺たちの隣を半袖半パンの小学生たちが駆け抜けていく。肌寒いというのに、元気なことだ。
「元気なことで。若いのう」
10: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:13:18.90 ID:JEvkc/8yo
「子供の頃って何でも出来る! って思っていたんだよ。野球なんてやったことがないのにプロ野球選手になって綺麗な人と結婚したい、とか警察になって悪い人を捕まえて綺麗な人と結婚したい、とかカリスマ美容師になって綺麗な人と結婚したい、とか」
言うまでもなく、小学生の頃の俺はアホだった。
11: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:14:02.34 ID:JEvkc/8yo
「奈緒の方は、どんな夢を持っていたんだよ」
「憶えているけど……ダメだ、絶対に言わないからな!」
12: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:14:39.72 ID:JEvkc/8yo
「わ、悪いか!? 魔法少女になりたいなんて夢を持ってて悪いか!?」
「いや、誰もそんなことは言ってないだろ!」
13: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:15:07.88 ID:JEvkc/8yo
自然公園に着く頃にはカミさんもすっかり上機嫌になっていた。着く前に買ってあげた焼き芋が美味しかったというのもあるかもしれないけど。
「こうやって見ると壮観だなあ。落ち葉の絨毯ってやつ?」
カミさんが言うように、落ち葉にあふれた場所はふかふかの絨毯にも見えて暖かそうだ。
14: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:15:47.74 ID:JEvkc/8yo
「おお、準備がいいこと。でも大丈夫かー? 運動不足の30歳にはちょっと辛いんじゃないの?」
カミさんはラケットを持ってニヤニヤと煽るようなことを言う。確かに30歳で体力も落ちてきているなあってのは身を持って感じてはいるけども。
「むっ、言ってくれるじゃないか。これでも高校時代はテニス部だったんだぞ」
15: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:17:01.37 ID:JEvkc/8yo
「ま、負けました……」
「おいおい、大丈夫かぁ? 息も切れ切れだぞ?」
16: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:17:52.52 ID:JEvkc/8yo
カミさんに言われるままに落ち葉の絨毯に寝転がる。思っていたよりもふかふかして気持ちがいい。ぎゅっぎゅっと背中に感じるカミさんの重みが硬くなっている体を解していく。
「んっ……」
17: ◆XUWJiU1Fxs
2016/11/16(水) 00:18:21.19 ID:JEvkc/8yo
そんなこともあったなあ、と笑いながら時間はのんびりと過ぎていく。カミさんのマッサージのおかげで体も少し楽になった気がする。時計を見ると12時を回っていて、お腹もいい具合にすいてきた。
「今日はピクニックだからな」
とカミさんが開けたお弁当箱にはまん丸なおにぎりに卵焼き、タコさんウインナー、からあげ、フルーツ……。
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