過去ログ - 【ワールドトリガー】冷見「解散……しちゃうのかな?」【二宮隊の夏】
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 20:57:51.13 ID:UqDxFpci0
その日の放課後、僕は本部基地に向かった。本当は昨日行くべきだったのだけれど、生憎おとといの晩から本当に熱を出してしまった僕は、昨日は一日中ベッドの中で過ごした。
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 20:58:46.00 ID:UqDxFpci0
僕は徒然なるままに、二宮隊の作戦室にむかった。両側に開いたドアの先には、もう、先日までの面影を残す物は一つもなかった。その殺伐な迄に物寂しい空間に耐えきれず、僕は部屋の照明を消して、室内に足を踏み入れる。闇の中で僕の瞳は少しずつ、その部屋の姿形を映し出していく。それは幻覚なのか、それとも記憶の投影なのか、あの日の会話、あの日の出来事、あの日の思い出までもが次々と暗闇に映し出されていく。ひゃみさんとはとさんのくすくす笑い、犬飼先輩の笑い声、二宮さんの溜息混じりの苦笑。何も無いこの部屋はしかし、未だ二宮隊の残り香で溢れていた。
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:00:18.42 ID:UqDxFpci0
ゴゥーン
扉から通路の灯りが漏れこみ、部屋は再びその荒涼とした空間を露わにした。
「辻ちゃん、どうした?」
以下略
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:02:35.51 ID:UqDxFpci0
「で、どうだった?あの後。うまくフォローできたの?」
「分かってて言ってますよね?それ。僕は犬飼先輩みたいなスキルを持ち合わせていませんから。」
「ん?何か嫌味っぽく聞こえるんだけど?」
以下略
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:03:27.82 ID:UqDxFpci0
他愛ない会話を交わしながら本部の長い廊下を歩く。犬飼先輩がポジティブだというのも決して嫌味なんかじゃない。現にその明るさに今日もまた僕は救われていた。と、同時に、あの日のひゃみさんを前にして何も出来なかった自分の無力さを改めて思い知らされることとなった。
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:04:25.67 ID:UqDxFpci0
「…それはそうと…あの後…二宮さん…どうしてました?」
恐る恐る尋ねると、先輩は足を止め、その顔からは笑みが消えた。
以下略
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:05:54.02 ID:UqDxFpci0
犬飼先輩の表情は普段からは想像もつかないほど暗かった…
「うちの隊長…ボーダー、辞めるってよ」
頭が真っ白になる、とはまさにこのことだろう。同時にそれは視界をも真っ白に染めあげ、尚且つグラグラと視野を揺する。まるで世界が崩れていくような…
以下略
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:06:40.05 ID:UqDxFpci0
「なんちゃって、ビックリした?」
「……………………………」
「……………………アレ?」
以下略
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:07:30.21 ID:UqDxFpci0
「ハハ、ごめんごめん!洒落にならなかったね。」
全くだ。不謹慎な事この上ないし、第一、冗談で寿命を縮められたらたまったもんじゃない。僕は悪びれもせずに笑う犬飼先輩を詰問代わりに鋭く睨む。すると先輩の笑顔は霧消し、再び真面目な表情が現れる。今度は騙されない、と怪訝な顔を崩さない僕を見据えて先輩は言った。
「隊長さ、辻ちゃんと同じ事してた」
以下略
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:08:43.15 ID:UqDxFpci0
何のことだろうか。首を傾げる僕に対して先輩は続ける。
「全部の荷物をまとめ終えて、そいつを新しい部屋に運ぼうってなったときにさ、隊長が俺に言ったんだ。すぐに行くから先に部屋に行っててくれって。仕方ないから荷物を俺1人で部屋に運んでずっと待ってたんだけど、隊長はいつまでたっても来なかった。心配になって探しにいったらさ、」
「ずっと…あの部屋にいたんですか。」
以下略
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:09:30.83 ID:UqDxFpci0
二宮隊の新たな作戦室は、前の部屋よりも窮屈に感じられた。実際、給湯室のスペースがなくなっているので、間取りが少なくなっているのは事実だ。しかし、僕が感じる、この部屋の閉塞感の原因はそれではない気がした。
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:10:26.79 ID:UqDxFpci0
簡単に部屋の説明をすると、縦長の部屋が"円"の漢字状に三分割されており、まずドアから入ってすぐの一番大きな部屋が四つの椅子を備えたテーブルを有するリビングだ。その奥には二部屋存在し、そのうち左側が四つのベッドを備えたベイルアウトルーム、右側が中央にデスクを、(入口ドアに対して)奥の壁に各隊員の私物が鎮座する棚を有するオペレータールームとなっている。
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:11:24.29 ID:UqDxFpci0
簡単に部屋の説明をすると、縦長の部屋が"円"の漢字状に三分割されており、まずドアから入ってすぐの一番大きな部屋が四つの椅子を備えたテーブルを有するリビングだ。その奥には二部屋存在し、そのうち左側が四つのベッドを備えたベイルアウトルーム、右側が中央にデスクを、(入口ドアに対して)奥の壁に各隊員の私物が鎮座する棚を有するオペレータールームとなっている。
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:12:10.72 ID:UqDxFpci0
模型を眺める先輩の目は輝いている。二宮隊に犬飼先輩が居てくれて本当に良かったと思う。もし先輩が居なかったとしたら、今頃このチームは…
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:13:03.80 ID:UqDxFpci0
ふいに現実に引き戻されてしまった僕は、薄れ始めていた息苦しさを再び実感した。私物棚の横、部屋の片隅には未開封の段ボールが積んである。多分、鳩原先輩のものだろう。
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:13:58.54 ID:UqDxFpci0
(解散…しちゃうのかな?)
ひゃみさんの震え声が蘇る。これから二宮隊はどうなるのだろう。再び視野が白みだす。
以下略
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:15:31.35 ID:UqDxFpci0
ひゃみさんの震え声が蘇る。これから二宮隊はどうなるのだろう。再び視野が白みだす。
「辻ちゃん、大丈夫?」
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:16:35.07 ID:UqDxFpci0
「行ってらっしゃい…と言いたいとこだけど、今日はやめといた方がいいと思うよ」
今にもオペレータールームを出ようとしていた僕は足を止めざるをえなかった。
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:17:35.49 ID:UqDxFpci0
「?いや、仮にランク戦が無くても、もう三週間も間が開いちゃったから、早く感覚を戻したいんです。」
「だよねー、それじゃあ仕方ないよね」
何か腑に落ちないものを感じながら、僕はオペレータールームを後にした。
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:23:09.37 ID:UqDxFpci0
「?それじゃ、お先失礼します。」
「GOODLUCK!」
先輩はまたぞろ不気味な笑顔を見せていた。
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◆jPpg5.obl6
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2016/12/04(日) 21:24:05.61 ID:UqDxFpci0
犬飼 澄晴
年齢 18歳
誕生日 5月1日
身長 176cm
以下略
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