過去ログ - 幸子「今日、私はボクを卒業します」
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15:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 18:22:35.18 ID:i8kqGCrS0
気付けば作業が止まってしまっていて、あわてて未開封の箱を掴みます。
たまたま手に取った長方形のそれは、楓さんからの贈り物です。
幸子ちゃんと同い年のものにしてみたの――
16:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 18:23:15.52 ID:i8kqGCrS0
「幸子、花束は全て済んだぞ。そっちはどうだ?」
「あ、はい! まだ終わってないです!」
「数が多いから無理もないか」
17:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 18:25:29.14 ID:i8kqGCrS0
「お待たせしました」
「これワインじゃねーか。車だから飲めないって」
「乾杯するだけです。プロデューサーさんは飲まなくていいですから、ね!」
18:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 18:26:41.51 ID:i8kqGCrS0
ワインとオープナーを受け取って開けようとしますが、恐る恐るといった感じで何だか面白いです。
「なぁ……これはこの使い方で合ってる?」
19:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 18:28:59.66 ID:i8kqGCrS0
「では、幸子の生誕を祝して――」
20:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 18:30:35.91 ID:i8kqGCrS0
グラスを軽く合わせると、小さな鐘の音が静かな部屋に生まれました。僅かな、それでいて確かな余韻を残して。
再び静寂に包まれた私の部屋で、プロデューサーさんは目を細めてグラスワインを見つめています。
味覚以外の五感で味わっているような、そんな感じです。
21:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 18:32:54.37 ID:i8kqGCrS0
「ちょ、幸子は飲んでも構わないが酒そんな強くないだろ。ワイン一気にあおったら回るぞ」
その通りです。
すでに体の奥が熱くなっている感覚がします。心臓も高鳴っています。
でも、それはワインのせいだけではありません。
22:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 18:34:54.43 ID:i8kqGCrS0
幼いころから両親にカワイイと溺愛され育てられました。実際カワイイですからね。
このカワイさを世界にアピールするため、アイドルになると決めました。
カワイイ自分をもっと見てもらうために。褒めてもらうために。愛してもらうために。
23:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 18:36:29.18 ID:i8kqGCrS0
プロデューサーさんに褒められたいと。
プロデューサーさんに認められたいと。
24:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 18:37:51.65 ID:i8kqGCrS0
自分の気持ちに気付いてから、たくさん悩みましたよ。アイドルに恋愛なんてご法度です。
ファンのみなさんのために。プロデューサーさんのために。
『ボク』の想いは胸にしまって、『私』がアイドル輿水幸子でいるために。
25:名無しNIPPER[saga]
2016/11/26(土) 18:43:04.64 ID:i8kqGCrS0
「――なんて、言っちゃいましたけど」
「……」
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