7: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/11/30(水) 18:47:51.87 ID:7FZgc2Oz0
 「二百年ぐらい遅いかな」 
  
 「でもでも、甘くなって美味しいかもよ?」 
  
 「食べたらなくなっちゃうよ」 
  
 「それは困るねー!」 
  
  ふふふと笑って、フレデリカはタタンタタンとステップを踏んで、手を大きく広げてくるりと回って見せた。いつの間にか差し込む日は、スポットライトみたいにきらきらとフレデリカを照らしていて、ぼくの目を奪った。 
  
 「アタシ、アイドルやってみようと思うんだぁ」 
  
  こちらを向いたフレデリカから不意に飛び出た言葉は、やっぱり理解できなくて、ぼくは首をかしげる。適当な言葉ではないのに、いまいち意味を掴めなかった。 
  
 「アイドル?」 
  
 「うん、アイドル。友達がね、容姿は良いんだから活かせばって。だからオーディション受けたら通ったんだー」 
  
  そうなんだ。と応えたと思う。フレデリカは言葉を続ける。 
  
 「でもね、よくわからなくて。だってほら、お仕事しなくちゃでしょ」 
  
 「不安なの?」 
  
 「きっとこのままじゃダメだと思うんだー。ほら、アタシ適当でしょ? 迷惑かけちゃうかも」 
  
  困ったように言って、フレデリカは街を見下ろした。その横顔は光に照らされて、綺麗で切なくて、不思議とぼくの知るフレデリカではないような気がした。 
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