過去ログ - 卯月「…ここ…どこ…?」
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45: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/07(水) 23:08:22.01 ID:+F7bQ51XO
「…」

だが、自分もまた、卯月に向き直れない。

それは、何故だろうか。

分かっている。

これは、怒りだ。

親友を傷つけ、悲しませ、絶望に叩き込んだ、ここの世界の魔物とやらに対する、怒り。

きっと今、自分の眉間には跡がつく程の皺が寄っているのだろう。

「…」

自然と、拳に力が入る。

何故か、ここに来て異常なまでに上がった身体能力。

卯月も、その影響があったようだが。

正直、今の自分なら、どうだろうか。

その魔物とやらの顔に、この拳をめり込ませることが出来るだろうか。

そんな危険な考えが、未央の頭に浮かぶ。

「…あ…み、未央ちゃん…」

「…何?しまむー」

卯月から、自分を心配する声がする。

自分から、怒りのオーラでも出ていたのか。

それが出せるのであれば、最早漫画の世界だが。

「…そ、それ…」

「?」

卯月が、未央のポケットに指を差す。

そこには、赤く輝く、あのダイヤのカード。

「…」

これは、一体何だろうか。

卯月は、これを使いあの姿になった。

ならば、自分はどうなるのだろうか。

「…」

ふと我に返る。

振り返ると、強張った表情の卯月。

どんな状況でも、気にするのは、自分よりも、誰か。

「…大丈夫だよ。私は死なないから」

だからこれ以上、心配はかけられない。

笑えているのかどうか分からないが、無理矢理にでも口角をあげる。

その慌てて作った笑顔に、卯月が笑みを返すことはなかったが。


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