68: ◆GWARj2QOL2[saga]
2016/12/12(月) 21:28:30.28 ID:lzTNMFTYO
真ん中の黒装束が、合図を送る。
すると両者は卯月と未央の背後に回り、逃げ道を封鎖した。
その動きは歩きではなく、浮遊。
どこからどう見ても、人間の成せる技ではない。
つまり、この三人は、人ではない。
「…これも、魔物ってやつ?」
「…多分…」
カードは反応していない。
恐らく今は、あの姿にはなれないということだ。
「…丸腰かぁ…参ったなぁ」
軽口を叩いてはいるが、身体は正直だった。
足の震えが、止まらない。
武者震いなどという格好が良いものではない。
隣にいる卯月も、今の未央の状態を察する。
単純な、恐怖。
自分と同等か、それ以上の者が、三人。
このまま戦って死ぬ確率は、極めて高い。
死にたくない。
その心中を読み取っていく内に、卯月の脳裏に蘇る、未央の言葉。
『…私は、死なないから』
そして、卯月をこれまでも、これからも苦しめ続けるだろうあの光景。
自分も、死にたくはない。
だが、それ以上に、死なせたくない。
誰かが苦しむのは、もう見たくない。
どうか、死なないで欲しい。
ならば、守らなければ。
彼女を。
自分の、仲間を。
その為ならば、自分など。
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