過去ログ - P「輿水幸子は無数に存在する」
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54: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/08(木) 22:06:09.42 ID:LNih3IB00
 二度目の夜が明け、さらに変化があった。

「プロデューサーさん、どいてください」

 ノックではなく、幸子が、直接声をかけてくれるようになったのだ。

 昼の間も、めげずにドアの向こうへ話しかけ続けた。
 しかし、返事はなかった。
 声を発してくれるのは、俺をドアの前からどかす時だけだった。

 三度目の夜。眠気が限界を迎え始めた。

 うとうとと眠りが深くなってゆくなか、「ここで眠れば幸子を救えない」と自分を奮い立たせた。
 それでも瞼の重みが消え去らないので、俺は胸ポケットのボールペンを手の甲に突き刺した。
 鈍い痛みがじわじわと広がり、それでなんとか眠気を耐えることができた。


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