83: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/09(金) 22:10:19.88 ID:9ecZiZ/N0
2016年12月9日。
次の世界で俺はプロデューサーへと戻っていた。
事務所には幸子がいる。
当たり前に思っていた景色をどこか他人事のように見てしまう。
貪欲に旅をしていた頃の情熱が消えてしまったのだろう。
ぼうっとそのまま眺めていると、幸子は「ど、どうかしましたか、プロデューサーさん」と恥ずかしげに目を逸らす。
すぐさま気付いた。
幸子は、このプロデューサーに惚れているのだ。
そしてきっとこいつは、幸子の想いに応えていない。
「あ、そうだ」
わざとらしく、幸子が手を合わせる。
ソファの陰から何かを拾い上げ、それを背中に隠し、忙しげに歩み寄ってくる。
さらに、じっと俺の顔を見上げる。
「プロデューサーさん、昨日はどうもありがとうございました」
幸子は珍しく頭を下げているが、あいにく昨日の俺は俺ではなかった。
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