過去ログ - P「輿水幸子は無数に存在する」
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89: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2016/12/09(金) 22:26:30.63 ID:9ecZiZ/N0
 幸子はこっそりと目尻の涙を拭った。

「い、言い訳ですか……ま、まぁ、カワイイワタシですから、聞いてあげなくもないです」

 俺は「ありがとう」と礼を言うと、ソファへ移動し、幸子と向かい合って座った。
 机の上には、お膳立てされたかのように紅茶のカップが二つ置かれている。先ほど幸子が煎れていたものだ。

「さあ、どうぞ、プロデューサーさん」

 すました顔の幸子に促される。
 俺は紅茶で舌を潤すと、

「――事の始まりは、きっと俺が階段から転げ落ちたところからだろう」

 ゆっくりと、旅の記憶を語り始めた。


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