過去ログ - 【FGO】マシュ「二人で分け合いましょう、先輩」
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5:名無しNIPPER
2016/12/12(月) 07:55:02.05 ID:kPPq99600
「……マシュ? どうしてそこに……まさか、ずっといたの?」
「ち、違います! たまたまです!」
扉越しに聞こえる先輩の声。
その物言いは普段通りで、何か緊急事態が起きた訳ではないと胸を撫で下ろす。
「それよりも先輩。何があったのですか?」
以下略



6:名無しNIPPER
2016/12/12(月) 07:56:31.90 ID:kPPq99600
「……先輩」
ベッドの傍らまで進み、声を掛ける。
「先輩、顔を……顔を、見せて頂けませんか?」
「……ちょっと待って。今は駄目」
それは、私が聞いたことの無い、消え入りそうな声だった。
以下略



7:名無しNIPPER
2016/12/12(月) 07:57:21.13 ID:kPPq99600
「……ありがとう」
「はい! って、ええ!? 私、口に出していましたか!?」
「全部ね」
かぁぁっと頬が熱くなる。
いや、例え口に出ていたとしても、私の想いに嘘偽りなんかなく、恥ずべきことなどない……の、だが。
以下略



8:名無しNIPPER
2016/12/12(月) 07:59:17.35 ID:kPPq99600
「うなされてたんだ。嫌な夢を見て」
「……夢?」
「特異点から帰ってきた後は、毎回こうなんだ。毎回……特異点で見た、一番……酷いことを、自分が受ける夢を見る。今日は……ラフムにバラバラにされる夢。その前はラフムにされて皆と戦う夢。その前は……もういいや」
ははは、と弱弱しく笑う先輩。
いつも前向きで、強気で、絶対に諦めなかった先輩。
以下略



9:名無しNIPPER
2016/12/12(月) 07:59:53.68 ID:kPPq99600
「……マシュ?」
気が付けば私は身を乗り出し、先輩を抱きしめていた。
私は、自分で思っているより行動的らしい。
「ごめんなさい、先輩……私は、ずっと先輩と一緒にいたのに、先輩の事、何も分かっていませんでした」
先輩は、強くなんかなかった。
以下略



10:名無しNIPPER
2016/12/12(月) 08:01:34.47 ID:kPPq99600
「先輩、私、いつだって戦うことが怖いです。戦って死ぬことが、怖いです」
「うん。俺も、怖い。いつだって怖い……いつだって、逃げ出したいのを必死に堪えて、抑えてる。いつも皆を励ますようなこと言ってるけど、本当は自分に言ってるんだ」
「私達は一人ではありません。だから……二人で分け合いましょう。怖いこと、辛いこと、嫌なこと。一人で抱えることが苦しくても、二人でなら、きっと大丈夫です」
「うん……うん」
先輩が腕を私の背に回してくれた。
以下略



11:名無しNIPPER
2016/12/12(月) 08:02:08.42 ID:kPPq99600
「一人じゃないんです、先輩。私がここにいます。マシュ・キリエライトが、ここにいます」
「うん、分かるよ。マシュはここにいる。俺も、ここにいる」
「はい。私達は今、二人でここにいます」
ふふふ、と先輩の笑い声が聞こえた。
……いつも通りの、明るい調子で。
以下略



12:名無しNIPPER
2016/12/12(月) 08:02:57.42 ID:kPPq99600
「でも、どうせ分け合うなら嫌なことだけじゃなくてさ、良いことも分け合いたいな。そしたらきっと……少しだけ、幸せな気分になれると思うから」
「はい、そうですね。このような状況だからこそ、幸せは分かち合わないといけません」
幸せ。
私の幸せ、それは。
「先輩、早速ですが、私の幸せをおすそ分けしてもいいですか?」
以下略



13:名無しNIPPER
2016/12/12(月) 08:04:16.32 ID:kPPq99600
「あー、笑わないでよ」
先輩が口を尖らせる。
それでは、答え合わせ。
再び先輩の背に手を伸ばし、ぎゅっとその身体を引き寄せる。
「先輩の身体は、大きくて暖かくて……今、私。とても、幸せです」
以下略



14:名無しNIPPER
2016/12/12(月) 08:05:38.12 ID:kPPq99600
「先輩、私――」
何を言おうと思ったでもなく、勝手に口が開いて言葉が飛び出た、その時。
「今だっ、主殿! ここが勝負どころよなぁ!」
……えっ?
私の声ではない。
以下略



15:名無しNIPPER
2016/12/12(月) 08:06:37.31 ID:kPPq99600
小次郎さんの出現から消失まで、私は呆然として事態を見つめることしかできなかった。
私はあの時、何と言って、何をしようとしたのだろう?
いくら考えても、答えが出ない。
だけど、あの人の所為で、なんだか幸せを逃したような、そんな気がした。
……私はあの時、何と言って、何をしようとしたのだろう。
以下略



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