過去ログ - 穂乃果「これからも友達で」【ラブライブss】
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15:名無しで叶える物語(たけのこ饅頭)[saga]
2016/12/14(水) 21:42:09.91 ID:vRldcILQ0


― 8月3日 ―


「どうして....起きないんです....もう....五日も....」

ふわりふわりと、誰かの声が聞こえてくる。
瞼が重くてなかなか開けない。
徐々に広がる視界には、眩しい日差しに当たる、一人の女の子が映る。
何故か体がずっしりと重くて、動かそうとしても、指が少し動く程度だ。
何処か、痛むわけでもないのに。


「....ぇ....穂乃果....?目を....ふぇ?これ、夢じゃ....穂乃果、目を覚ました....んですか?」
「....穂乃果って....私?」

素敵な名前だ。

「あなた以外に誰がいるんですか?もしかして....記憶が....私の名前、分かりますか?」
「あなたの....名前?」

経験した覚えのない記憶が、蘇っていく。
頭の中がかき混ぜられているようで、少し変な気分だ。
そんな蘇る記憶に、やっぱり懐かしさを感じる。
血の味、お日様に当たった時の気持ち悪さ。
そして、髪の長いあの女の子が―。

「あぁ....ぁ...."海未ちゃん"....だぁ....」
「穂乃....ひぅっ....ほ、穂乃果ぁ....ひぐっ、穂乃果ぁぁっ」

自分が―いや、穂乃果が、呼んだ"海未ちゃん"は、恐らく我慢していたであろ涙を解き放ち、抱きついてきた。
もう、この感覚が懐かしく感じる。
「穂乃果、穂乃果」と名前を連呼して、涙が連れてきた喉の痙攣が背中を伝って穂乃果の手にやって来る。
勢いのまま後ろに倒れ込んでも、背中に何も感触がない。
そういえば、邪魔だった、大きく鋭い歯も無くなっている。
そしてこの部屋にある唯一の窓にかかる、風で揺れる、初めて見る『黒いカーテン』の隙間から眩しいお日様の光が差し込むのが、とても気持ちいい。

「"海未ちゃん"」

穂乃果も名前を何回も呼ぶ。
柔らかくて、温かい"海未ちゃん"と触れ合うことが幸せで。
戻ってきた暁には―と考えていたこと―未だにぼんやりとした記憶の中で、一番に輝き主張しているもの。
死ぬよりももっともっと前から、ずっと、心にしまい込んでいたもの。

「好きだ....大好きだ....」

それは何よりも、一番伝えたかった言葉だった―。


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