過去ログ - 【DQ7】マリベル「アミット漁についていくわ。」【後日談】
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106: ◆N7KRije7Xs[sage saga]
2016/12/26(月) 20:03:06.33 ID:PzmFtaYD0

ボルカノ「……! こりゃ いったい…!」

地下牢に到着した漁師たちが見たのは異様な光景だった。

ひしゃげた扉、恐怖を顔に張り付けたまま床に転がり呻く番兵たち、
ぐったりとしている少女を腕に抱き、傷に手を当て何かを念じる少年。

壁や床には何かを打ち付けたようにひびが入り、置かれていたであろう樽や椅子、卓はひっくり返ってあちこちに散乱していた。
そんな部屋の中に消えた松明の煙がもやのように充満し、その光景をより一層不気味に仕立てている。

フォロッド王「なんということだ! この者たちは うちの 番兵だ!」

*「アルス! マリベルおじょうさんは…!」

アルス「…………………。」

ボルカノ「アルス……。」

アルス「ぼくの せいだ……。」

少年は呼び掛けには応じず、緑色の優しい光を手から発しながら自分に言い聞かせるように呟き続ける。

アルス「あの時 どうして 一緒に来るように 言わなかったんだ。」
アルス「もっと… もっとぼくが 早く気づいていれば… マリベルは こんな目に あわずに 済んだんだ。」
アルス「ぼくが ついていれば…。絶対に 守るって 約束したのに……!」

フォロッド王「アルス… すまない。こんなことに なっているとは 知らずに……。」

アルス「……王様の せいでは ありません。」

ボルカノ「…………………。」

アルス「マリベル ごめん。ごめんよ……。」

少女の頭を胸に抱き少年は何度も何度も名前を呼ぶ。

*「…ア…ルス。」

アルス「……っ!」

すると呼びかけに応じるかのように少女は薄眼を開き、少年の顔を見つめながらゆっくりと口を開く。

マリベル「やっぱり 助けに… 来てくれたのね……。」

アルス「マリベル!!」

マリベル「遅いよ… ばか……。」

アルス「ごめん… ごめんよ… きみを守るって 言ったのに。」

マリベル「あたしは… 大丈夫よ。これくらいで くたばったりしないわ……。」

アルス「でも…!」

マリベル「…………………。」
マリベル「やっぱり あんたは あたしの ヒーローだったのね……。」
マリベル「…ありがとう。」

ゆっくりと息を吐くと、安心した様子で今度こそ少女は気を失った。

まなじりから水晶のような涙が一筋滑り落ち、少年の掌を濡らす。

アルス「マリベル……。」

少年は両手に眠った少女を抱きかかえると地下室の出口へと歩き始めた。
この場の後処理は王や漁師たちに任せて、今は何よりも少女を安全な場所に移すことが最優先だった。

そんな少年の意図を知ってか知らずか少年の父親は黙ってその背中を見届けると、
二人の出て行った暗い部屋の中、今後のことを王と話し始めるのだった。



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