過去ログ - 【DQ7】マリベル「アミット漁についていくわ。」【後日談】
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161: ◆N7KRije7Xs[sage saga]
2016/12/28(水) 19:43:52.87 ID:HiFRyoCx0

首を締め上げていた少年の腕に青白い光が走り、辺りをまばゆい光が包む。

瞬くその間に緑色の化け物は真っ黒に染め上げられ、風に吹かれて跡形もなく消し飛んでしまった。

マリベル「あ… アルス……?」

固まったまま微動だにしない背中に少女が声をかける。

アルス「っ……!!」

遅れて雷に打たれたかのようにビクッと体が揺れ、少年は悪戯を叱られた子供のようにバツが悪そうな顔で振り返った。

アルス「た ははは…… また やりすぎちゃったかも…。」

マリベル「まったく あたしは あれぐらいじゃ くたばらないって いっつも言ってるでしょうが!」

アルス「ご ごめん つい…。」

マリベル「もうっ 大袈裟なんだから。」

生きるか死ぬかの攻防の後にも関わらず、少年と少女はさも当たり前のようにちょっとした反省会を開いている。

ラグレイ「な… なんてことだ…。」

男は恐怖していた。

“レベルが違いすぎる”という共闘してみて感じた実力の差だけではない。

少年から感じた得体も知れない力に。

その純粋な怒りに秘められた底知れぬ力に。

ラグレイ「わたしは… こんな人たちと 共に 戦ったことに していたのか…!!」

男は酷く後悔していた。自分はこれまで幾多の戦いを経て、戦士としての実力を身に着け、大抵の脅威には立ち向かえる自信があった。
それこそ魔王の出現を聞き、背中を押されて止む無く城に忍び込んだ時でさえ、傷を負いながらもなんとか生き延びて帰る程には。

だが目の前にいる少年たちに、そんな自分のちっぽけな驕りは粉々に砕かれてしまったのだ。

アルス「ラグレイさん! 父さんたちを 見てきます!」

そう言って少年は井戸の中へと飛び込んでいった。

マリベル「あ ちょっと 待ちなさい! スクルトっ!」

続いて少女も飛び込んでいく。

ラグレイ「…………………。」

男は自分が恥ずかしかった。

大見栄を切って飛び出してきたくせに自分より二回りも若い女性に危機を助けられ、
青年に圧倒的な力の差を見せつけられ、今こうして情けない姿を晒している自分がたまらなく恥ずかしかった。

それと同時に怒りがこみ上げてきた。

守るべき存在に守られてしまう自分の不甲斐なさに。

下らぬ嘘や見栄の鎧で身を守る自分の弱さに。

ラグレイ「ちくしょう…っ!」

男は井戸を少しだけ覗きみる。

ラグレイ「今度は わたしが 助ける番だ……!!」

再び全身に力を入れると、少しずつ近づいてきている地鳴りのする方へ一人走り出す。



その瞳には、炎が宿っていた。




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