過去ログ - 【DQ7】マリベル「アミット漁についていくわ。」【後日談】
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242: ◆N7KRije7Xs[sage saga]
2016/12/31(土) 15:30:00.99 ID:OqFe7abd0

アルス「…………………。」

少年の目の前に広がる不気味な光景には誰も気が付いていないのか、他の漁師たちは羅針盤や前ばかり見ている。

アルス「……まずいっ!」

そう呟き、剣に手を伸ばした時だった。

ボルカノ「ぬおっ!」

突然北と思しき方向から突風が吹き、アミット号の船体を大きく揺さぶった。

*「うわわわ!」

ボルカノ「アルス! 帆をたため!」

アルス「……っはい!!」

鞘にかけていた手を離し、急いで縄を引き帆をたたんでいく。
帆が完全にたたまれると同時に風はさらに強くなり、白い霧を舞い上げ吹き飛ばしていく。

アルス「ぐうううっ!」

吹きすさぶ風の中、なんとか目をこじ開け先ほど船が見えた方向に目線をやるも、そこには霧が舞うだけで何も見えなかった。

アルス「どこに……どこに行ったんだ!」

少年が息も絶え絶えに叫んだ瞬間、急に視界が開け、あれだけ吹き付けていた風がぴたりとやんでしまったのだった。

ボルカノ「……止んだか。」

それまで床に伏せていた漁師たちが起き上がり、辺りの様子を確認する。

*「船長! こいつを見てくだせえ!」 

ボルカノ「どうしたっ ……なっ!」

*「も もとに戻ってる……。」

呼ばれて漁師たちが集まってみると、なんとあれだけ狂ったように回転していた羅針盤の針がそれまで通りにピタリと南北を指し示していた。

ボルカノ「いったい どうなってやがる……。」

羅針盤の故障に突然の突風、そして晴れた霧と羅針盤の復旧。不可思議な出来事の連続で漁師たちは少々混乱しているようだった。

アルス「…………………。」

その中でただ一人少年だけが一点をじっと見つめて黙っている。

アルス「いない……!」

それは先ほど船の見えたあたりだった。

しかしそこにはただただ暗い海原が広がるばかりで、船はおろか鳥の一羽すらも飛んでいない。

ボルカノ「どうした アルス。なにか見つけたのか?」

アルス「いや……なんでもない。」

ボルカノ「…………………。」

“自分の見たものは幻だったのか”

“いや、あの時感じた恐ろしい気配は決して幻覚ではない”

しかし自分がそのことを説明すればいたずらに船員の恐怖心を煽るだけだろう。

そう判断した少年は父親や他の誰にもこの話はしまいと決めたのだった。




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