過去ログ - 【DQ7】マリベル「アミット漁についていくわ。」【後日談】
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297: ◆N7KRije7Xs[sage saga]
2017/01/03(火) 12:18:20.16 ID:XE7nrcf00

少年が見つめる先には二匹の鳥がいた。
片方は二日前この船に迷い込んできた美しい青色の鳥。
もう片方はこれまた天をそのまま映したかの如く澄んだ水色をした鳥だった。

アルス「やあ 妖精さん! また 鳥の姿に戻ったんだね。」

呼びかけられた青い鳥は少年のもとへ降り、その手に小さな茶器のような物を落とす。

アルス「これは……?」

マリベル「ねえ それって エルフののみぐすり じゃない?」

少女の言葉を肯定するように青い鳥は少年の腕に止まり、“チチッ”と鳴いてみせる。
どうやら少年たちに礼を言いに来たかのようであった。

サイード「そっちの 水色の鳥は?」

青年が疑問を口にするとその鳥は少女の腕に止まり、口にくわえていた葉を少女に向ける。

マリベル「えっ これをあたしに?」

少女の問いかけに、水色の鳥は少女が差し出した掌にそれを落としてみせた。

*「チチチッ!」

短く一回だけ鳴くとその鳥はもう一羽と共に水の都の方面へと飛んで行ってしまった。

アルス「行っちゃったね。」

空の色に紛れて見えなくなった二羽の鳥を見送り、少年が呟く。

マリベル「……うん。」
マリベル「あっ……。」

同じようにその後を眺めていた少女だったが、ふと手に置かれた葉を見ると驚いた様子で固まってしまった。

アルス「どうしたの? マリベル。」

マリベル「……ううん。なんでもないのよ。」

サイード「その葉は… 世界樹の葉か?」

マリベル「そうみたいね。」

アルス「でも さっきの見慣れない鳥は いったい……。」

マリベル「…ふふっ さーてね。」

首をひねる少年を横目に少女は少し寂しそうに、それでいて嬉しそうな複雑な表情をしていた。
そうして消えてしまった鳥たちの後ろ姿にポツリと呟いたのだった。





マリベル「ありがとう。名もなき鳥さん。」





少女が胸に抱いた世界樹の葉にはくちばしで開けたような小さな穴が連なっていた。

小さく、形が崩れて少し見辛かったものの、よく見るとそれは文字になっていた。

たった一言の短い言の葉。

だが、そこには確かにこう書いてあった。



[ あ・り・が・と・う・ま・り・べ・る ]



鳥たちを見送る少女の瞳はいつもよりきらめいて見えたが、それに気づいたのは少女の横顔をじっと見つめていた少年だけだった。




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