過去ログ - 【DQ7】マリベル「アミット漁についていくわ。」【後日談】
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594: ◆N7KRije7Xs[sage saga]
2017/01/11(水) 19:39:00.51 ID:LLGD6zi70

井戸の中は温泉の湧き出る音だけが木霊し、他には何も聞こえなかった。

マリベル「…………………。」

少女は目を凝らして辺りを確認する。

マリベル「……やった!」

奥の隅々までつぶさに観察したが確かにそこには誰もおらず、少女は思わず握り拳を作る。

マリベル「今のうち 今のうち……!」

そう言って少女はドレスを脱ぎ、近くにあった籠にまとめると浴巾(よっきん)を体に巻きつけて湯へと近づいた。

その時だった。



*「…いやあ 外は冷えるなおい。」



*「ホントだよな! もういっぺん 入っていっちまうか!」



マリベル「…っ!」



“しまった!”



どうやら二人組の男が井戸の手前までやってきているらしい。
自分の後に誰かが来る可能性などすっかり頭から抜け落ちていた少女は慌てて踵を返す。
このままでは湯に浸かれないどころか布越しとはいえ自分の裸体を見られてしまう。
そんな焦りから思うように濡れた床の上を走れず、少女は泣きたい気持ちになった。

そしてまたその時だった。



*「待ってください!」



男たちとは別の声が聞こえてきた。

*「あん?」

*「なんだ あんちゃん あんたも 風呂かい?」

*「いま 女の子が 一人で 入っているんです。」

*「なら 尚更 入らなくっちゃよ! なんせ ここは 混浴なんだぜ。」

*「そうだぜ へっへっへ……!」

男たちはいやらしい笑い声を上げる。

*「頼みます! 誰かに見られたくないからって 何度も あきらめていたのが ようやく 一人で ゆっくり 入れる時が来たんです。」
*「せめて 彼女が 出てくるまで 待ってください!」

*「……どうするよ?」

*「うーん……。」

*「お願いします! 宿代でも なんでも お支払いしますから!」

*「え ほ ホントか?」

*「そこまで 言われちゃ 仕方ねえ。まあ 風呂なら 宿にも あるからいいけどよ。」

*「ありがとうございます!」

*「……おう 確かに 受け取ったぜ。」

*「そのじょうちゃんに ヨロシクな! がっははは!」

その言葉を最後に男たちの声は聞こえなくなった。どうやら行ってしまったようだ。




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