過去ログ - 【DQ7】マリベル「アミット漁についていくわ。」【後日談】
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735: ◆N7KRije7Xs[sage saga]
2017/01/15(日) 18:51:48.95 ID:8S3LzPGC0

アルス「……。」

不意に呼び止められ、少年は少女に振り返る。

マリベル「…………………。」

少女は震える体を抱いて立ち尽くしていた。
まるでどうして呼び止めてしまったのかわからないとでもいうように。

アルス「…………………。」

そんな少女を見て少年はすぐに袋の中をまさぐり、毛皮のマントを取り出すと固まったままの少女に被せ……



マリベル「あ……。」



そしてそのまま抱きしめた。

アルス「こんなに冷えちゃって……。」
アルス「気づけなくて ごめん。」

耳元でそうささやかれ、少女は心臓の高鳴りと共に抱かれた体が再び熱を取り戻していくのを感じた。

マリベル「…………………。」

アルス「さあ もう 戻ろう。」

マリベル「アルス……。」

アルス「なあに?」

マリベル「もう少し このままで いさせて……。」

身体がぬくもりを取り戻すと同時に少女は自分の中で固まっていた不機嫌さや不安が溶けていくのを感じていた。
そして昼からどうにも落ち着かなかった感情の波が、いつしか凪のように穏やかになっていくのも。

マリベル「おねがい。」

少年の背中に手を回して体を密着させる。

アルス「…………………。」

少年は何も言わずにそれを受け入れた。

マリベル「…そうだった……。」

アルス「ん?」

ずっと感じていた心の違和感の正体。

マリベル「アルス……。」

“あなたと 触れ合っていたかった だけなのね。”

アルス「…………………。」

名を呼ばれた少年は何も答えなかったが、見つめてくる少女の瞳を柔らかい微笑みで受け止める。



少女の体は、もう震えてなどいなかった。





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