過去ログ - 若林智香「幸せの順番」 -SS速報VIP

過去ログ - 若林智香「幸せの順番」

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22: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/12/24(土) 02:21:48.28 ID:sctM3UwS0
　ふと喉の渇きを覚えて、パソコンの横に置いたマグカップを覗く。

　そこには夕方に淹れたコーヒーの飲み残しが僅かにあるだけで、とてもじゃないがこれで渇きは癒えそうにない。

　「コーヒーでもいれましょうか？」

以下略

23: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/12/24(土) 02:22:52.94 ID:sctM3UwS0
　「熱いから、気を付けてくださいね」

　暫くして事務所に戻ってきた彼女から、湯気の立つ湯呑みを受け取る。

　「おお、すまん」

以下略

24: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/12/24(土) 02:24:05.23 ID:sctM3UwS0
　「俺のことなんて、智香にはすべてお見通しだな」

　そう言うと、彼女はくすぐったげにはにかんだ。

　何気ない一つ一つの所作が、第一線で輝くアイドルであることを証明している。

以下略

25: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/12/24(土) 02:24:38.53 ID:sctM3UwS0
　「アタシには信頼できる担当さんがいて、いつもアタシの為に頑張ってお仕事をしてくれています」

　「智香、」

　「だからアタシも、そんなＰさんの取ってくれたお仕事を頑張ろうと思えるんです」

以下略

26: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/12/24(土) 02:25:16.87 ID:sctM3UwS0
　「Ｐさんだから、アタシは安心して飛べるんです」

　彼女は、ちょっとおかしいですかね、と言ってはにかんだ。

以下略

27: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/12/24(土) 02:25:58.86 ID:sctM3UwS0
　「……じゃあ、そろそろ帰りますね」

　「寮まで送ってやろうか？　仕事もきりがいいし」

　そう言うと、彼女は笑顔のまま首を横に振った。

以下略

28: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/12/24(土) 02:27:19.42 ID:sctM3UwS0
　扉の方を見つめたまま、暫く俺は何も手がつかなかった。

　いつになっても、彼女に支えられているなあ、と思う。

以下略

29: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/12/24(土) 02:28:20.74 ID:sctM3UwS0
　「ライブですかっ！」

　後日、彼女にライブを開催する旨を伝えると、目を輝かせて喜んだ。

　「うん。三ヶ月後に決まったから」

以下略

30: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/12/24(土) 02:29:38.55 ID:sctM3UwS0
　「それで、だ」

　「はいっ？」

　「そのライブ会場なんだが、お前、あそこ覚えてるか」

以下略

31: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/12/24(土) 02:31:11.93 ID:sctM3UwS0
　その会場は老朽化と増設を理由に全面的に改装工事をするため、暫く閉場することが決まっていたからだ。

　しかし、閉場してしまう前になんとかライブができないかと打診すると、向こうが快諾してくれた。

以下略

32: ◆K5gei8GTyk[saga]
2016/12/24(土) 02:32:00.36 ID:sctM3UwS0
　「そんな、でも、う、嘘じゃないですよねっ！？」

　目を白黒とさせて彼女が、俺に詰め寄る。

　「本当だって。向こうも、お前のライブなら是非使ってくれって言ってくれたし」

以下略

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