過去ログ - 【艦これ】聖夜の魔法 -SS速報VIP

過去ログ - 【艦これ】聖夜の魔法

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22: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:25:47.48 ID:yHI9m9qlo
　それが今再現された。

　いや。きっとこれから再現されていくのだろう。

23: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:26:16.33 ID:yHI9m9qlo
「いや、だからここから先は嫌だって言ってる」

　なんとも残酷な言葉ではないか。

　まるでその価値すらないと言われたような気さえする。

24: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:27:33.11 ID:yHI9m9qlo
「言いなさいな。この先に進まない理由とやらを」

　内容次第では、重巡足柄の本領発揮も覚悟してもらおうじゃないか。

　すっと身体を離して腕まくり。近接戦闘準備完了だ。

25: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:28:10.22 ID:yHI9m9qlo
　その音が聞こえたのだから間違いない。

「世界中でお前のゲ――じゃなくて、小間物の味を文字通りの意味で知ってるのは俺だけだろうな。まぁ、俺もその直後にやらかしたから、これに関しては相討ちって所か」

　提督が笑う。

26: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:28:46.80 ID:yHI9m9qlo
　叫び出したい。

　きっと、今ならどれだけ叫んでも許されるはずだ。

　なんなら主砲弾をありったけ世界中にばらまきたい。この際、四一センチだろうが五一センチだろうが構うことなくぶっ放す。

27: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:29:18.81 ID:yHI9m9qlo
　そこにはまだ、夢や希望や、その他諸々が詰まっていたのだから。

　もはやこの世に未練はない。

　いっそ楽になりたい。

28: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:29:56.48 ID:yHI9m9qlo
「こうなるのがわかってたから、言わなかったし口止めしたんだよ……」

「もういいのもういいからほんとに死にたいいっそ殺してお願いだから後生だからひと思いに――」

「ああもう、このバカ。直情径行の性格は治せと言ってるだろ」

29: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:30:50.80 ID:yHI9m9qlo
　だとしたら、今はそんなものお断りだ。

　夢なら覚めないでほしい。

　ただこの瞬間を堪能したくて、目を閉じた。

30: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:31:30.61 ID:yHI9m9qlo
　だが、その時はやってくる。

　夢の終わりがやってくる。

　そして。

31: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:32:10.35 ID:yHI9m9qlo
　銀色に輝く小さな指輪。

　それが足柄の左手、薬指の先端に触れて止まる。

　サイズは間違いなく足柄に合うものだ。なんとなくそれがわかる。

32: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:32:42.66 ID:yHI9m9qlo
「まぁ、これはこれでリアリティに溢れてるとは思うし、おかげで俺も変に気負わずに言えてるんだが」

　話が出来すぎている。ひょっとすると、夢までクリスマス仕様の大盤振る舞いなのか。

「ああ、そっか。これって変な夢の続きってことよね？」

33: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:33:13.10 ID:yHI9m9qlo
「どうだ？」

　答える代わりに、なぜか時計を見てしまう。

　ガラスの靴のヒロインは、午前零時に魔法が解けて現実に連れ戻される。

34: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:33:49.56 ID:yHI9m9qlo
「お前、そういうガラか？　それこそ夢を見過ぎだっての――そういう足柄も悪くないけどな」

　その動きが、言葉が、足柄を一気に現実へ引き戻す。

　この状況には恐ろしいほど似つかわしくない、怒りという感情がふつふつと沸き起こったせいだ。それもまた自分らしいといえばそれまでなのだが。　

35: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:34:20.50 ID:yHI9m9qlo
「コート。予算がないんじゃなかったの？」

「説明させなかったのはお前だろうが……サービスの予算がなくなったのは仕立屋。正規の料金を出せば作ってもらえる。お前には何年も世話になってるんだ、指輪の件は別としても、そのくらいはプレゼントさせてくれよ？」

　ならば予定通りに作戦実行。返事はその時までお預け。

36: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:34:53.82 ID:yHI9m9qlo
　これでは、答えを言ってしまったのと同じだ。

「……それは、ちゃんとした言葉で答えを聞いてからじゃないと教えられないな」

　提督はニヤリと笑って事実上の勝利宣言。

37: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:35:35.01 ID:yHI9m9qlo
　相手が誰であろうと、勝ちは絶対に譲らない。

　彼の隣という位置にふさわしい自分であるために。

　それが、きっと彼が望む足柄だから。

38: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:36:33.67 ID:yHI9m9qlo
　だからきっと、その夜のことが魔法だったとしても解けることはない。

　次にこの時計が動き出すのは、二人が新たな一歩を踏み出した後なのだから。

39: ◆tF/D/g0jpg[saga sage]
2016/12/24(土) 23:40:10.82 ID:yHI9m9qlo
※駆け足で失礼いたしました。
　誤字脱字ありましたら、何卒ご容赦を。

　普段、甘いのは書くどころか読むこともないので、こんなんしか書けなくてごめんよ。

40:名無しNIPPER[sage]
2016/12/25(日) 02:03:43.89 ID:Cm1pzEbSo
素晴らしい
おつ

41:名無しNIPPER[sage]
2016/12/25(日) 14:19:19.95 ID:uVy1KNERo
すばら！

42:名無しNIPPER[sage]
2016/12/25(日) 18:49:24.69 ID:wQFbD9I6o
乙

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