11:名無しNIPPER[saga]
2016/12/25(日) 00:48:39.15 ID:nq/MiQjT0
◇
ラジオの公録から、その後のミニサイン会まで。
私用も含めて全部終わったころには、あたりはすっかり夜を迎えていた。
12:名無しNIPPER[saga]
2016/12/25(日) 00:50:02.36 ID:nq/MiQjT0
「大人ども各位、プレゼントの用意はできたか」
やあやあと声が上がる。
他のプロデューサーたちも含めて、成人組はそれなりに出来上がっているらしい。
13:名無しNIPPER[saga]
2016/12/25(日) 00:51:02.14 ID:nq/MiQjT0
みんなにプレゼントを配っている間、クリスマスについて考えていた。
サンタクロースを信じていたのはいつまでだっけ。クリスマスプレゼントを最後にもらったのはいつだっけ?
小さなころのことはまるで思い出せなくて、本当に私にも、こんなに目をキラキラさせていた頃があったのだろうか。
14:名無しNIPPER[saga]
2016/12/25(日) 00:52:01.36 ID:nq/MiQjT0
配り終わったころに、文香に話しかけられた。「今日は、こちら側だったんですね」
「文香もね。配ってたんでしょう、お手製の栞」
「ええ……まぁ。みなさん、喜んでくれました……しかし、奏さんは、まだ」
15:名無しNIPPER[saga]
2016/12/25(日) 00:53:37.48 ID:nq/MiQjT0
「私のプレゼント、子ども向けばかりだけれど」
「良いのです……私も、少し子どもっぽいかもしれませんから」
こちらです、と文香が取り出したのは、小さなリボンが施された栞だった。
16:名無しNIPPER[saga]
2016/12/25(日) 00:54:26.21 ID:nq/MiQjT0
「それでは……私はそろそろ帰ります……」
「明日も仕事?」
「はい、年末に向けて……」
17:名無しNIPPER[saga]
2016/12/25(日) 00:55:26.17 ID:nq/MiQjT0
◇
外に出ると、朝と違ってイルミネーションがわらわらと瞬いていた。
手を繋いだカップルがとにかく多くて、帰り道が憂鬱になりそうだ。
18:名無しNIPPER[saga]
2016/12/25(日) 00:58:50.27 ID:nq/MiQjT0
「おい、奏!」と、ビルの中から赤い顔をしたプロデューサーさんが飛び出してきた。
彼は息を切らしていた。
どうしたの、と聞く前に、ぎゅーっと抱きしめられる。
19:名無しNIPPER[saga]
2016/12/25(日) 00:59:46.09 ID:nq/MiQjT0
「そこに直りなさい」
そういうと、彼は冷たいアスファルトの上に正座をする。「酔いは醒めたかしら」
「はい、もうすっかり。抱きしめちゃってすみません」
20:名無しNIPPER[saga]
2016/12/25(日) 01:01:58.73 ID:nq/MiQjT0
「そう、キャラだよ、そんなもの誰かに勝手に思わせていればいいんだ。気負う必要なんてない」
「突然どうしたの、それに……どういう意味?」
「奏のことだよ」
21:名無しNIPPER[saga]
2016/12/25(日) 01:02:51.32 ID:nq/MiQjT0
違うんだ、違うんだよ、と彼は呻いた。
大人っぽい、は褒め言葉で、子どもっぽいはそうではない。
なら、私はみんなの期待通りに大人のフリをするだけだよ。
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