過去ログ - 佐々木千枝「今日は特別な日だから」
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13: ◆WJfkFowgA.[sage]
2016/12/25(日) 01:13:44.22 ID:7LMOLEw2o
「プロデューサーさん! 千枝、失敗しなかったです!」

「お疲れ様、千枝」

 俺を発見するなりサンタ服のままの千枝は駆け出して来た。えへへ、と笑いながら俺のそばに来ると何かをおねだりように上目つかいで見る。
周囲に誰もいないことを確認した俺は千枝の頭にポンと手を乗せるとやさしく撫でてやる。

「よく頑張ったね、最高のステージだったよ」

「やった、褒められちゃいました」

 くすぐったそうに笑う彼女にバレないように、心の中でため息をつく。千枝がアイドルになってから、
仕事やレッスンが上手くいったときはご褒美として千枝を撫でてやる事が恒例行事となっていた。

 正直言うと、俺も千枝のことを妹のように思っていたから彼女に対するご褒美も嫌ではなかった。
ただ千枝の慕情に気付いてしまった今、この儀式は千枝の感情をより膨らませてしまうだけでしかない。

 そんなこと、分かりきっているのに――。

(やめられないんだよな……)

 小学生の女の子が自分に対する好意を隠そうとしないでアプローチしてくるのを流せるほど、俺も余裕があるわけじゃなかった。
日々の激務の中で千枝の存在に救われていることは否定も出来ない。

 いや、本当は――。

「いつもより撫でてもらえました」

「えっ? そ、そうだったかな?」

 慌てて手を引っ込めると千枝は少しだけ寂しそうな表情を見せる。俺は誤魔化すかのようにそそくさと歩き始めた。



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