過去ログ - 佐々木千枝「今日は特別な日だから」
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6: ◆WJfkFowgA.[sage]
2016/12/25(日) 01:00:17.78 ID:7LMOLEw2o
思えば。千枝はあの時からプロデューサーがついてアイドルになる、という夢物語が現実になったことに浮かれていたのかもしれない。
子供が大人に対して持つ憧れが、小さくも無視することの出来ない恋心へと変わっていくのに、時間はさほどかからなかった。
自分の半分ぐらいの、もしかしたらサンタクロースの存在をまだ信じているかもしれない年齢の子なんて背伸びしたいだけだ! と
何度も何度も言い聞かせてみたけど、こうも好意を向けられると意識せざるを得ないわけでして。
「ずっとずっと、今日が来る日を待っていました。今日だけは千枝のプロデューサーさんでいてくださいね」
ほら、こんなドキッとするようなことを言うわけだよこの子は。もし俺が彼女と同世代か少し年齢の高いお兄さんだったなら、
思いっきり抱きしめていただろう。大人になってやっていいことと悪いことの分別のついた自分を褒めてあげたいくらいだ。
「〜〜♪」
鼻歌交じりに上機嫌な千枝のテンションなら今日の仕事も上手くやれるはず。とはいえ彼女の好意を利用しているようで少し罪悪感があるのが本音だ。
サンタ服を着てファンの皆の前で手を振る千枝のモチベーションが俺と特別な日を過ごせる事だなんて口が裂けても言えない。
俺はどうすべきだったのだろうか。距離を取ってでも、こうなることを避けるべきだったのかな。だけどそれじゃあ、今の千枝はなかったかもしれない。
結局、なるようになってしまうんだ。
「難しいなぁ」
自嘲気味に笑うと千枝は楽しそうにしているように見えたのか、もっと上機嫌になる。その笑顔に、少しだけ気が楽になった。
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