過去ログ - 花丸「はなまるぴっぴは善い子だけずら」
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19:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:26:44.92 ID:O8fGFwM8o
「へっ?」

 屋根の上に立つ善子から間の抜けた声が返ってくる。
大きな頭陀袋を背負う善子の姿は、遠目にはサンタクロースに見えないこともない。
その手から白い粉が零れ落ちていった。
花丸が雪だと錯覚した粉体に違いない。
頭陀袋に詰めた白い粉体を、善子が花丸の部屋の直上から降らせていたのだ。

「人工雪?それもインターネットで買ったずらか?」

「う、うん。まぁ、密林でね」

 善子は気不味そうに頭を掻くと、視線を花丸から逸らした。
続く言葉を探しているらしく、宙に漂う焦点が定まっていない。

「よくそんなものを背負って登れたものずらね。
でも、危ないから降りてくるずら。そもそも不法侵入ずら」

 花丸が促してやると、善子も意を決したらしい。
頭陀袋を背負ったまま、雨樋を頼りに器用な手付きで降りてきた。
その運動神経は賞賛に値するが、こうして見るとサンタクロースというよりも泥棒である。
家の者に見つかれば騒ぎになっていただろう。

「痛っ。って、今晩はー、ずら丸」

 雨樋を辿る途中で手元が狂ったのか、降下に失敗した善子が落ちてきた。
幸い、もう地までの距離が大してなかったのと、背負っている頭陀袋が緩衝の用を成したのとで、
言葉ほどには痛そうに見えない。
久しぶりに面と向かって花丸と話す気恥ずかしさから、
故意に戯けてみせたのではないかと勘ぐる程度の小事に留まっている。

「大丈夫ずら?全く、おっちょこちょいな所は相変わらずずら」

 やはりこのくらい間が抜けていた方が、善子らしくて良い。
花丸は何処か安心して言った。



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