過去ログ - 花丸「はなまるぴっぴは善い子だけずら」
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18:名無しNIPPER[sage saga]
2016/12/25(日) 22:25:52.65 ID:O8fGFwM8o
 冷静になって目を凝らせば分かる。そもそも遠方には雪も何も降っていないのだ、と。
花丸の部屋の窓の直前にだけ、白い粉が落ちてきているようにしか見えない。

「いたずら?」

 花丸は呟くと、部屋のドアを振り向いた。一人で確認に行くか、親に相談するか。
逡巡は一瞬で終わった。聖夜の奇跡に賭けてみたい。
コートを急いで羽織り、花丸は部屋を飛び出した。

 廊下の冷たい床も、玄関に入り込んでいる寒気も、恋路に急く心を挫くには足りない。
玄関を飛び出して冷気に包まれてなお、花丸は胸奥から滲み出てくる熱気を感じていた。

 白い息を吐き出しながら、花丸は目的地を一目散に目指す。
目的地は、自分の部屋の手前だ。
一歩、二歩と近付いてくに連れて、花丸の胸の鼓動も早まってゆく。

 寺とはいえ、建物のうち生活に供しているスペースは広くない。
すぐに屋根の上に人影が見えてきた。屋根に上る、それだけでも候補は絞られる。
こんな芸当ができる身体能力を持った人間など、Aqoursでも三人しか居ない。
一人は曜、一人は果南。だが、二人とも今日に限ってそんな暇があるはずもない。
曜に至っては東京に居るのだ。
ならば、残るは──

 田舎とはいえ、悪質な第三者の可能性も除外できなかった。
だが、その可能性とて、夜闇に紛れる人影の正体が明らかになると同時に消えていた。
正体を視認すると同時に、花丸は指を差して叫ぶ。

「居たずらっ」



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