20:名無しNIPPER[saga]
2016/12/31(土) 13:55:48.90 ID:tFwGSLOi0
芳乃
「言ったではありませんかー。すべての因果を元のように編んで見せるとー」
奈々
「芳乃ちゃん……ねえ、なんでなんですか? なんでプロデューサーさんは幸せになれないんですか? あの人がなにかしたんですか? どうしてこんなことばかりが起きるんですか? ねえ、教えて下さい。芳乃ちゃん。どうやったらプロデューサーさんは幸せになれるんですか?」
茄子
「落ち着いてください、奈々さん。取り乱したって未来は何も変わりませんよ?」
奈々
「じゃあどうしろっていうんですか! 過去を変えてもダメだった! プロデューサーさんがプロデューサーじゃなくなってもダメだった! ならどうしろっていうんですか!? このままじゃ、また……また、プロデューサーさんが……」
イヴ
「奈々さん、なにか飲みますか? 私のオススメはホットココアですけど」
呑気なイヴさんに向かって、奈々さんが何かを言おうとした。けれど奈々さんは口をつぐんだ。
うつろな目でぼうっと天井を見上げて、魂の抜けた声でつぶやく。
奈々
「……あったかいなら、なんでもいいです」
イヴ
「そうですかぁ。じゃあここは凛ちゃんに任せますね〜。ささ、疲れた奈々さんの心にしみちゃう、あったかい飲み物を選んでください」
凛
「えっ、あ、はい」
言われるがままに私は冷蔵庫を開けた。なにがいいだろうか。ホットレモンがあった。直感でそれを選ぶ。
イヴ
「あたためスイッチ・オン♪ あ、それじゃあ私、そろそろ時間なんで、プロデューサーさんを送って行きますね。いいですよね、奈々さん? よし、じゃあ、凛ちゃん! ホットレモン、お願いしますね〜」
私の返事を待たずに、イヴさんはソファに駆け寄ると、眠ったままのプロデューサーを抱き上げた。
茄子
「名残惜しいですけど、仕方ありません。元気でね、プロデューサー。また私を見つけてくださいね」
茄子さんがプロデューサーのほっぺにキスをする。そこには舞ちゃんのサインがあったはずだが、消えていた。
電子レンジがチンと鳴った。私は紙コップを取り出して、温かくなったホットレモンを奈々さんに渡す。
しばらく会話がなかった。私はまだ事態がよく呑み込めていない。頭がどうにかなりそうだった。
茄子
「あ、そうだ。奈々さん、ちょっとソレ、借りてもいいですか?」
奈々
「……ああ、そういえばそうですね。どうぞ、使ってください」
奈々さんが足元にあったおもちゃのニンジンを、茄子さんの足元に向けて滑らせた。なんだっけ、見たことあるな、こういうシーン。
ああ、そうだ。映画で、人質を取られた主人公が、悪役に銃を渡すときのヤツだ。
茄子
「おもちゃですけど、こういう時には便利ですね」
茄子さんは拾い上げたニンジンを西部劇みたいにくるくる回してから、その先端を私に向けた。
茄子
「ごめんね、凛ちゃん。ちょっとぼーっとするかもしれないけど、痛くないから安心してね。あ、痛くないのかな? どうなんだろ? あの、奈々さん、これって痛くないですよねー?」
奈々
「さあ? 死ぬほど痛くても、どうせ忘れるから関係ありませんよ」
茄子
「ああ、それもそうですね。じゃあ気を取り直して」
茄子さんは子供みたいな笑顔を浮かべて、引き金を引いた。
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