27:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/01(日) 21:43:50.27 ID:YiqUyrv20
そして、そこまで思考が巡った後に、彼女の意識はようやく理性の下へと戻ってくる。
気が付けば、緊張の極致にある日野茜が、まるで解放の時を待つかの様に服の裾を握りしめていた。
「……」
この時、鷺沢文香の頭にふと、行動の選択肢が浮かんだ。
真っ先に浮かんできたのは、謝辞を述べて身体を離すこと。
正道としか言い様がなく、本来的に採るべきはこの行動であると鷺沢文香も理解していた。
実際、彼女の理性は間違いなくそうしようと、一度は肉体に働きかけた。
しかし、彼女の『知』が、衝動が、その選択を押しのけた。
押しのけて、そして強引に、もう一つの選択肢を身体に、そして意識に、決定づけた。
――この幸せな匂いを、もっと味わっていたい。
――もう少しだけ、強く。
果たして鷺沢文香は、日野茜の肩に添えていた手を背中まで回し、彼女を柔らかく抱きしめた。
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