4:名無しNIPPER[sage saga]
2017/01/03(火) 03:19:47.54 ID:H/k4aS6B0
ーー智絵里祖母宅ーー
智絵里「ただいま」
おばあちゃん「おかえり智絵里、ご飯できてるよ」
智絵里「ありがとうおばあちゃん」
おばあちゃんの作った少し味の濃い、けど疲れた体を満たすおいしい夕食を食べながらわたしは考える。
自分は恐らく変われたこと。前のように臆病で、「こんなわたしでいいのかな」と思うような卑屈なわたしはいなくなってるということ。それを周りの人も喜んでくれてること。
でもなんで、ならなんでお父さんはあの時、あんな顔をしたんだろう。
おばあちゃんの背中を見る。小さい頃、わたしはよくおばあちゃんの家にお世話になっていた。
小さいわたしでは両親が仕事の間、家に一人でいられないからだ。
実は一人で留守番するようになったのは高校生になってからである。
なので臆病で卑屈なわたしのこともおばあちゃんはわかってるはずだ。人に言いたいことを言えなかったりして気持ちがあふれそうになった時、よくおばあちゃんに泣きついていたのを覚えている。
考えると同時に、その疑問を彼女にもしていた。
智絵里「おばあちゃん、わたし、変わったかな」
おばあちゃんは一瞬キツネにつままれたような顔をした。その一秒とない間、どんな答えが返ってくるか緊張する。告白した後の返事を待つのってこういう感じなのかな。経験したことないから想像だけど…、
その緊張をほほえましく見るように、おばあちゃんはいつもの柔らかな顔で答えた。
おばあちゃん「智絵里は変わったね、昔より明るくなったし、べっぴんさんになった。」
わたしはほっとした。今の「このわたし」はいいんだ。「こんなわたし」はもういないんだと。
「でもね」おばあちゃんは続けた。
おばあちゃん「前の智絵里は、内気で弱気な女の子だったかもしれないけど、自分がやるって決めたことは途中で投げ出さない芯の強い、人の幸せを喜べる優しい女の子だよ、そこは変わってない」
わたしはびっくりした。わたしにとって以前の自分は負の遺産のようなものだとしか思っていなかったからだ。
おばあちゃん「智絵里のお父さんもお母さんも、「アイドルを始めてから智絵里は明るくなった、けどそれ以上にうれしかったのは、智絵里が今も昔と変わらず、優しい智絵里のままでいること」って前私に話してたのよ。たぶん直接言うのは照れくさかったのかもね。」
「ーーーーーーっ。」
わたしは小さい頃と同じようにおばあちゃんに泣きついた。けど、小さい頃と違ってすごくうれしい気持ちであふれて。
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