27: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:51:44.38 ID:ZVvkRN9Y0
文香は数ページ読んでは、空になったカップを口に運び、喉をならす作業を機械的に行っている。
中身の意味を問わず、プログラミングされた通りの行為を繰り返す文香は見ていて不安になる光景だった。
この作業は文庫本を読み終わるまでずっと続くのだろうか。
28: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:52:19.18 ID:ZVvkRN9Y0
『神様がくれた時間は零れる』
私の携帯から加蓮の歌声が流れる。私は電話をとった
凛「はい……うん、え、水着?また嘘じゃなくて?……いやそこまでしなくたって、はいはいわかったよ。それじゃあね」
29: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:53:12.97 ID:ZVvkRN9Y0
ありす「文香さん、ダージリン持ってきましたよ!」
ありすは”東ベルリン“にいる私の存在に気付いていない。そして”西ベルリン“にいる文香もまたありすの呼びかけに対して無反応だった。
しかしありすにとってそんなことは織り込み済みだったのだろう。
30: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:53:42.88 ID:ZVvkRN9Y0
そして文香は数ページ読んだ後、プログラミング通りにカップを口に運ぶ。
文香「熱っ……」
文香はカップをテーブルの上に置いて、俯きながら硬直している。
31: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:54:16.53 ID:ZVvkRN9Y0
ありす「ああっ、すいません文香さん!今、ふーふーしますから!」
と思ったらありすによって、即座に例外処理が行われ、文香はまた規定された通りにカップを口に運ぶ行為を再開しだした。
それでいいのか、ありす……
32: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:54:55.98 ID:ZVvkRN9Y0
『生き残れ〜!!胸が〜!!』
生存本能ヴァルキュリアの歌が流れる。
ありす「ああ、私のタブレットですかね。ちょっと外で電話に出てきます」
33: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:55:27.73 ID:ZVvkRN9Y0
私はありすの姿を見送ると、“西ベルリン”に密入国し、空になって置いてあるカップの中に私のメロンソーダを気を付けて注ぐ。こういうカフェのカップはサイズが非常に小さいからだ。
今文香が手に持っているカップと、メロンソーダを注いだカップとを先ほどのありすの要領で入れ替えた。
まるで敵国に侵入し破壊工作を行うスパイになった気分だ
34: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:56:13.50 ID:ZVvkRN9Y0
『もしもし、橘ですけど、もしもし?いたずら電話ですか?』
携帯からありすの声が聞こえる。
凛「街は歪んだラビリンス。君を見失うありす」
35: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:56:56.07 ID:ZVvkRN9Y0
少しして、ありすが小走りに“西ベルリン”へと戻ってきた。
ありす「すみません、文香さん。いたずら電話でした」
文香は無反応だ。しかしタイミングよく文香がカップを口元へ運ぶ。
36: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:57:30.68 ID:ZVvkRN9Y0
しかし――
そこにあったのは、ありすの顔面にメロンソーダを勢いよく吹き出す文香の姿だった。
文香「けほ!けほ!……なんでこんなにしゅわしゅわ……ってありすちゃん!」
37: ◆SU.cErYd62[saga]
2017/01/03(火) 20:58:03.63 ID:ZVvkRN9Y0
文香「ああ、ごめんなさいありすちゃん!」
文香はハンカチでありすの顔を拭う
ありす「い、いえ大丈夫です。それより文香さんの方は」
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