1: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:20:32.45 ID:A2L4SOsro
モバマスSSです
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2: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:22:20.03 ID:A2L4SOsro
―――都内某所チャペル 新郎控室
まゆ「凛ちゃん……プロデューサーさんの様子は……?」
P「……」
3: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:22:59.09 ID:A2L4SOsro
凛「私は、まだ納得したわけじゃないから」
まゆ「凛ちゃん……その話は……」
凛「まゆだって……割り切れたわけじゃないでしょ!なのに、こんな……」
4: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:23:26.35 ID:A2L4SOsro
―――チャペル廊下
まゆ「凛ちゃんの気持ちもわかりますけど……今は言っちゃいけませんよぉ」
凛「でも、まゆは許せるの……?プロデューサーの奥さんのこと……」
5: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:23:56.06 ID:A2L4SOsro
凛「それにしても気持ちの整理……私はそれをつける日が今日だと思ってたんだけど……」
まゆ「凛ちゃん……」
凛「覚えてる?まゆが初めて事務所に来た日。プロデューサーに一目ぼれしてついてきたって……」
6: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:24:26.02 ID:A2L4SOsro
凛「プロデューサーが結婚するって言った日の夜、ふたりで散々泣いたよね」
凛「お互いに絶対に負けられないと思っていた勝負。それが引き分け……いや、ふたりとも土俵にさえ上がれていなかったってはっきり気づかされちゃったんだから」
凛「……不思議だね。あんなことがあって初めてまゆのことをライバルでも恋敵でもない、本当の友達だと思えた」
7: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:25:08.03 ID:A2L4SOsro
凛「わからない?私たちは気持ちの整理をつけるための区切りの場面を前にして、新しく気持ちの整理をつけなければいけない場面に出会ってしまったんだよ」
まゆ「そうなんですけれど、そうやって小気味よくまとめるのもやめてください」
凛「これが不謹慎だけど、例えば式から時間が経って、プロデューサー夫婦がうまくいかなくて……とかならわかるよ。ひょっとしたら『チャンスがきた』って思ってしまうかもしれない」
8: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:25:34.80 ID:A2L4SOsro
「ふたりとも、何を騒いでるんですか……Pさんの控室の前で」
まゆ「あっ、ありすちゃん……」
凛「どうしたの?プロデューサーに何か用事?」
9: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:26:09.67 ID:A2L4SOsro
ありす「……初めてだったんです。こんな、不愛想な私のことをしっかり見てくれる大人に出会ったのは」
まゆ「ありすちゃん……」
ありす「スカウトの時に散々冷たい言葉をかけても、デビューまでにそっけない態度を取り続けても、あの人は私を見守り続けてくれました」
10: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:27:02.56 ID:A2L4SOsro
ありす「いつだったか……私がウェディングドレスを着るお仕事をしたとき、聞いたんです。『待てますか?』って」
ありす「Pさん……なんて答えたと思いますか?……いえ、今となってはどうでもいいことです。あの人は待ってくれなかったんですから」
凛「……そんなことがあったんだ」
11: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:28:05.99 ID:A2L4SOsro
ありす「わかりませんか?私たちは小説やドラマの登場人物のように気持ちを整理しようとしたら、その上をいく小説やドラマみたいな展開を見せられたんですよ」
まゆ「そうなんですけれど、そうやって小気味よくまとめるのもやめてください。流行ってるんですかぁ……?」
凛「腕を上げたね、ありす……」
12: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:28:31.67 ID:A2L4SOsro
ありす「……おふたりと話してちょっとだけ気分が晴れました。失礼します」スタスタ
まゆ「行っちゃいましたね……」
凛「ありすもまさか私たちと同じ気持ちになっているとはね……」
13: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:29:06.11 ID:A2L4SOsro
「ああ、まゆちゃんに凛ちゃん……もう大丈夫?あんなことがあって……」
まゆ「……美優さんこそ、顔色が悪いですよぉ……大丈夫ですか?」
凛「……プロダクション職員だった新婦さんと仲が良くて、新婦友人代表挨拶の打ち合わせをしようとしたときにに置手紙を見つけたのは美優さんなんですよね……」
14: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:29:47.59 ID:A2L4SOsro
美優「プロデューサーさんは、私に新しい世界を見せてくれたの。こんな、普通だった私に」
美優「人見知りだった私にどんどん露出の多い格好や、人前に出るようなお仕事をさせて……」
美優「……今では、初めて彼と出会った時とは別人のようになったと……自分でも思っていて……」
15: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:30:17.52 ID:A2L4SOsro
美優「そんな私の思いは、彼の結婚報告で砕かれた……砕かれて、初めてその思いが恋慕によるものだったって気づいたの」
美優「しかも、その相手が彼女で……二人の共通の『友人』ということでスピーチを頼まれた日は、どうやって家に帰ったのかも覚えていなくて……」
凛「……」
16: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:30:43.01 ID:A2L4SOsro
美優「プロデューサーさんと彼女を笑顔の仮面で祝福するはずが、その破局の手紙をみんなの前で読み上げることになるなんて……」
まゆ「小気味よく言っても笑えませんよぉ……」
凛「感情が入りすぎていて、手紙の結びの『探さないでください』を読みあげたとき内容以上に美優さんが心配されたからね。新婦じゃなくて美優さんがどこかいっちゃいそうで……」
17: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:31:12.97 ID:A2L4SOsro
―――チャペル 新郎控室
P「……おう、ふたりか」
まゆ「Pさん、もう大丈夫なんですか?」
18: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:31:45.60 ID:A2L4SOsro
P「……お前たちを含めた一部のアイドルに信頼以上の情を寄せられていたのはわかっていた」
P「だが、時にはとぼけて、時にははぐらかして、時にはなだめすかして……見ないふりを続けてきた」
P「アイドルにそういった話は厳禁……こうすることがお前たちのためになる。俺はそう信じつづけた」
19: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:32:17.42 ID:A2L4SOsro
P「いつだったかに告白して、しばらく交際して……結婚の話を切り出したのは俺だ。彼女も満更ではないように見えた」
P「……俺は、間違いなく彼女を好きだった。だけど、心の奥底……自分でも気づかないところではその気持ちさえもプロデュースに利用してやろうと思っていたのかもしれない」
P「……よく言うだろ?女の人が繁華街を歩くときに、未婚でも薬指に指輪をはめるとか……」
20: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:32:50.37 ID:A2L4SOsro
まゆ「今のお話を聞いて、今日の新婦さんはもったいないことをしたって思います……」
まゆ「こんなに思ってくれている男性の前から姿を消すなんて……まゆには考えられません」
まゆ「……今のPさんは全てを失ったように思っているかもしれません。でも、もう少し、心の整理ができたらきっと気づくはずです」
21: ◆fwR/vDgRag[sage saga]
2017/01/07(土) 01:33:17.96 ID:A2L4SOsro
P「……ありがとうな、まゆ……吹っ切れそうだよ」
まゆ「お役に立てれば何よりです♪」
P「さて、そうなればやることは山積みだな。ご祝儀の返却や、迷惑かけた人への謝罪や……」
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