過去ログ - まゆ「破ってはいけない3つの約束事について」
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6:名無しNIPPER[saga]
2017/01/08(日) 15:08:46.29 ID:SwhvTvNS0


思い切って、それを開けてしまおうと考えたこともありました。

だけど、約束事を破ってしまうことは、この幸せな日々を無くしてしまうことと同義だったのです。
以下略



7:名無しNIPPER[saga]
2017/01/08(日) 15:12:02.00 ID:SwhvTvNS0

たった一度だけ、まゆはプロデューサーさんとの約束を破ったことがありました。

それはとても些細なことでした。
営業で外回りに行く前に、プロデューサーさんに「糸くずがついてますよぉ」と触った、ただそれだけのことだったんです。
以下略



8:名無しNIPPER[saga]
2017/01/08(日) 15:13:31.69 ID:SwhvTvNS0

幸せな日々を手に入れることも、失うことも、まゆ次第ということなのでしょう。

しばらく経ってから、新しい黒いビニール袋が家に増えたとき、

以下略



9:名無しNIPPER[saga]
2017/01/08(日) 15:15:55.81 ID:SwhvTvNS0

まゆはいてもたってもいられずに、傍に寄り添うと、
手を繋いで、泣きそうになりながら「そう、ですね」とこたえました。

そしたら、プロデューサーさんはいつもみたいに、まゆをぎゅっと抱きしめて、
以下略



10:名無しNIPPER[saga]
2017/01/08(日) 15:20:30.59 ID:SwhvTvNS0

そんなことがあったからか、まゆは、どうすればこの素晴らしい日々が続くのか、ということだけを考えるようになりました。

答えは単純でした。“なにもしない”ということ――それが正解だったのです。

以下略



11:名無しNIPPER[saga]
2017/01/08(日) 15:21:45.15 ID:SwhvTvNS0

異変が起きたのは、暗雲がたちこめる、薄暗い日のことでした。

その日、まゆはプロデューサーさんの家で、いつものように料理をつくっていましたが、
当のプロデューサーさんはというと、まゆを置いて外出していたのです。
以下略



12:名無しNIPPER[saga]
2017/01/08(日) 15:23:58.83 ID:SwhvTvNS0

それから、やはり、足元には黒いビニール袋が置かれていました。

もう、気に留める理由もなかったので、
まゆは、そのまま鼻歌を歌いながら、おたまで鍋の中身をかきまわしていました。
以下略



13:名無しNIPPER[saga]
2017/01/08(日) 15:25:25.29 ID:SwhvTvNS0

おもわず足元を見下ろしてしまったとき、「やってしまった」と思いました。

黒いビニール袋は、その口を開いた状態で横たわっていたのです。
どうやら、縛り方がゆるかったのでしょう。その中身は無残な形であらわになっていました。
以下略



14:名無しNIPPER[saga]
2017/01/08(日) 15:27:13.00 ID:SwhvTvNS0

悲鳴よりも先に頭によぎったのは、「どうすればこれをなかったことに出来るのか」ということでした。

まゆは、それがどんな理由でこんな場所にあって、
どうしてこんな状態になっているのか――なんてことよりも、これを見てしまったという事実を消してしまわねばなりませんでした。
以下略



15:名無しNIPPER[saga]
2017/01/08(日) 15:28:58.51 ID:SwhvTvNS0

幸いにも、プロデューサーさんが帰宅するよりも前に、
袋を“元の状態”にもどすことに成功したまゆは、胸を撫で下ろしました。

何事もなかったように、ふたたび、鍋に火をかけ始めた頃、
以下略



16:名無しNIPPER[saga]
2017/01/08(日) 15:53:30.29 ID:SwhvTvNS0

しばらくして、玄関口のドアノブを回す音が聞こえると、プロデューサーさんが家に帰ってきました。

「ただいま」と言ったその手には、やはり、黒いビニール袋が握りしめられていました。

以下略



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