37:名無しNIPPER[saga ]
2017/01/18(水) 19:28:54.41 ID:soaQQyEE0
そして那珂は右手を宙にあげる。生き物である右手。
那珂「人は、生き物は死んだら天国に行くんですね。それと」
38:名無しNIPPER[saga ]
2017/01/18(水) 19:29:32.15 ID:soaQQyEE0
那珂「地獄に行く。これが人の終わり方。でも正解かどうかもわからない。大佐さん。私達は元軍艦です。物の終りは人とは違います。.....終わるっていうのも違いますけど....。だから、私は人の死後の先を知らないんです」
大佐「那珂は生き物には命。物には魂と分けていたのはそういう理由か」
39:名無しNIPPER[saga ]
2017/01/18(水) 19:32:11.18 ID:soaQQyEE0
那珂「大佐さんは聴きたいですか物の終りを。光も音も自分も何もかも存在しなかった私の体験談を」
果たして、私はよいのだろうか。
40:名無しNIPPER[saga ]
2017/01/18(水) 19:33:00.36 ID:soaQQyEE0
陸地を餌とする深海棲艦の侵略で人は完璧に死に、だと思ったら半分生きていたり、もう何が何だかわからない。
三つ巴を戦いの中、幼な子頃から現在まで私はずっと懊悩とした。
41:名無しNIPPER[saga ]
2017/01/18(水) 19:34:02.09 ID:soaQQyEE0
那珂「....わかりました」
冥府の門を覗き込む。あるいは扉に耳を立て中の喧騒を想像する。私はやっと謎を解く術を知るのだ。
42:名無しNIPPER[saga ]
2017/01/18(水) 19:35:13.69 ID:soaQQyEE0
那珂「大佐さんはこの湯呑みは生きていると思いますか?」
大佐「あぁそのはずだな」
43:名無しNIPPER[saga]
2017/01/18(水) 19:56:26.61 ID:soaQQyEE0
那珂は破片の一つを摘まみ取り握り締めた。
目を閉じ痛みを感じる様に力を込め続ける。血は出ない。艦娘は人間よりもずっと丈夫に造られているからだ。そう易々と皮膚を切り裂き中身を晒されては困るからだ。
44:名無しNIPPER[saga]
2017/01/18(水) 23:27:34.50 ID:soaQQyEE0
私は湯呑みの残骸を眺める。白を基調とした陶器に二つの波線模様の青が施された、湯呑みだった物。
那珂「ですけど、この湯呑みには口はありません。自分に起きた事を話すことはできないんです」
45:名無しNIPPER[saga]
2017/01/18(水) 23:28:26.89 ID:soaQQyEE0
大佐さん。私は物は死なないと言いました。物は例え散り散りに、粉々になっても意識はあって自分の現状把握をしっかりと確認出来るんですよ。
那珂「私が沈み始めた時丁度ここ、ですね」
46:名無しNIPPER[saga]
2017/01/18(水) 23:29:37.77 ID:soaQQyEE0
天地の境にある空間の海を彷徨い、海上には青色の波線と揺蕩う光が互いに交錯し合う。
那珂「そして私は沢山に別れた。死なず、意識がハッキリとして」
47:名無しNIPPER[saga]
2017/01/18(水) 23:30:33.69 ID:soaQQyEE0
那珂「そうですね、私はそうでした。それに私以外の艦娘の人もみんなそうですね。そしてこの湯呑みも。でも勘違いはしないでください。軍艦の私は意識を理解してはいましたけど、頭の中で映像を無意識に流している感覚と同じなんです。ただの一瞬をずっと見続けるのとおんなじです」
那珂は淡々と話を終えた。すると那珂は不自然な程笑顔にすんなり移り変わった。
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