過去ログ - 那珂ちゃんは申したい!
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43:名無しNIPPER[saga]
2017/01/18(水) 19:56:26.61 ID:soaQQyEE0

那珂は破片の一つを摘まみ取り握り締めた。

目を閉じ痛みを感じる様に力を込め続ける。血は出ない。艦娘は人間よりもずっと丈夫に造られているからだ。そう易々と皮膚を切り裂き中身を晒されては困るからだ。

以下略



44:名無しNIPPER[saga]
2017/01/18(水) 23:27:34.50 ID:soaQQyEE0

私は湯呑みの残骸を眺める。白を基調とした陶器に二つの波線模様の青が施された、湯呑みだった物。

那珂「ですけど、この湯呑みには口はありません。自分に起きた事を話すことはできないんです」

以下略



45:名無しNIPPER[saga]
2017/01/18(水) 23:28:26.89 ID:soaQQyEE0

大佐さん。私は物は死なないと言いました。物は例え散り散りに、粉々になっても意識はあって自分の現状把握をしっかりと確認出来るんですよ。

那珂「私が沈み始めた時丁度ここ、ですね」

以下略



46:名無しNIPPER[saga]
2017/01/18(水) 23:29:37.77 ID:soaQQyEE0

天地の境にある空間の海を彷徨い、海上には青色の波線と揺蕩う光が互いに交錯し合う。

那珂「そして私は沢山に別れた。死なず、意識がハッキリとして」

以下略



47:名無しNIPPER[saga]
2017/01/18(水) 23:30:33.69 ID:soaQQyEE0

那珂「そうですね、私はそうでした。それに私以外の艦娘の人もみんなそうですね。そしてこの湯呑みも。でも勘違いはしないでください。軍艦の私は意識を理解してはいましたけど、頭の中で映像を無意識に流している感覚と同じなんです。ただの一瞬をずっと見続けるのとおんなじです」

那珂は淡々と話を終えた。すると那珂は不自然な程笑顔にすんなり移り変わった。

以下略



48:名無しNIPPER[saga]
2017/01/18(水) 23:31:34.75 ID:soaQQyEE0

那珂は嗚咽交じりで涙を堪えている。

何だ私は。一体何をしている。私は今にも泣き出しそうな那珂を抱きしめても、仮初めの優しい言葉一つとして囁く事もできないのか。

以下略



49:名無しNIPPER[saga]
2017/01/18(水) 23:32:29.53 ID:soaQQyEE0

那珂「大佐さんは優しい方です。もしも、もしもまた艦娘に生まれ変わったら今度は提督になった貴方の元で戦いたいです。だから未来の「提督さん」。もう一つ、そんな貴方に聞きたい事があります」

大佐さんは、艦娘を人間とは思っていませんね。

以下略



50:名無しNIPPER[saga]
2017/01/18(水) 23:33:13.77 ID:soaQQyEE0

大佐「あぁ、その通りだ。その通りだとも....」

艦娘は兵器であり人間ではない。どれほど精巧に造られても深海棲艦を殲滅するために造られた兵器にしか過ぎない。

以下略



51:名無しNIPPER[saga]
2017/01/18(水) 23:34:15.14 ID:soaQQyEE0

分かるのは艦娘が物だとするとまた一瞬が延々と続く生地獄を海底で彷徨うことになる。その恐怖を抱え大海原を深海棲艦を駆逐するために行軍する。

ふと捨て艦達が集うあの一棟と今を生き抜く艦娘達を当てはめる。何も、何も変わらないではないか。彼女らは遅かれ早かれ必ず沈む。ならばこの鎮守府は結局の所捨て艦の収容所ではないか。

以下略



52:名無しNIPPER[saga]
2017/01/18(水) 23:35:34.03 ID:soaQQyEE0

大佐「艦娘は、兵器だ。紛れもない兵器だ」

那珂「知ってます。艦娘が兵器だってことは。それに大佐さんが嘘をつけない事も」

以下略



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