過去ログ - 千歌「会ってみたいのっ! 伝説のポケモンマスター、高坂穂乃果さんに!」
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67:名無しNIPPER
2017/01/13(金) 02:18:35.63 ID:iHa0YDGOO
 次の瞬間には、千歌は曜に抱きつき……嗚咽を漏らして、涙を流し始めた。何かが決壊してしまった。今までは乾いた笑いを出せば住んでいた心の安寧が、それだけでは済まなくなっていた。


 曜は驚きながらも、少し安心している。高飛び込みの代表クラスの彼女は、悔しさの重要性を誰よりも分かっているつもりだった。千歌の親友として、ここまでの悔しさが溢れ出ているのは初めてのこと。つまり。


曜(本気だったんだね……)


 バトルコートの砂が髪の毛に入り込んでしまったのだろうか、頭をなで付けるとぎしぎしと引っかかる。頑張った証だね、と柔らかい声色で語りかけると、千歌は泣き止むどころか、より勢いを増して、曜を抱きしめる。


千歌「ひっぐ……ぅぅぅ、ごめん、ね……わたし、ぜんぜん、だめ、でっ」


 共に悲しむのと同時に、曜の中に違う感情も芽生えていた。ここまで頼られるのが、嬉しい……こんなに自分のことを頼ってくれる……。半分歪んだ、固定された者への承認欲求が、顔を出し始めていた。本気の感情をぶつけられたことがとにかく、嬉しくてそして――心地よかった。


 思えば、千歌がポケモントレーナーになれるかもしれないという夢を吊り下げられてから、頼っていたのは自分ではない。自分より遥か天上の世界にいる、梨子や果南、曜のことを見ていたことは無かった。


 それならば、強くなれば。彼女達と同じ、それ以上に強く、なれば。


 横一線でなくてもいい。


 自分が誰にも負けないくらい強くなって、強くなって、強くなって……千歌より前へ行くことで、そうすれば、さらに千歌のことを支えられる、千歌に頼って貰える。


 曜が旅の初めに見出した答えは、千歌に依存する芽。




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