28: ◆GWARj2QOL2[saga]
2017/01/11(水) 23:40:37.21 ID:rRiEBhHTO
「ハアッ…ハアッ……ハッ…!」
変身直後に己の頭を襲った、激痛。
何かが自分の脳に直接映像をねじ込んできた。
このベルトの使い方。
敵の倒し方。
サポートメカの活用。
それらを無理矢理詰め込まれ、そしてはっきりした視界。
数キロ先まで見え、聴こえる、感覚。
李衣菜は感じ取ったまま、ケースに入っていた付属品のレーザーポインターを取り出し、携帯のカバーらしきもの、ミッションメモリーを装填。
そのまま右足に装着し、携帯のボタンを押した。
流れる音声とともに、標的に向かって、放った。
「ハーッ…ハーッ…」
己の放った攻撃で、灰塵と化したキューブリカン。
誰が見ても分かる、勝利。
だが、李衣菜は困惑していた。
これをやったのが自分だということ。
機械相手とはいえ、命を奪ったということ。
だが、やらなければ、自分がやられていた。
だが本当に、これしか方法がなかったのか。
「ハー…ハー……ッ!?」
変身が解かれると同時に、急激に冷える身体。
まだ想像でしかないが、極限まで吸われただろう、血液。
そのせいか、視界がぼやけ、足元が定まらない。
やがてぐらつき始め、その場に倒れる。
コンクリートの大地に顔を伏せ、力なく身を任せる。
このまま自分は死ぬのだろうか。
そんな思いを抱く。
「…」
あれは幻だろうか。
それとも、現実だろうか。
後者ならば、これ程嬉しい事は無い。
「…」
視界の端に映る金髪の少女に李衣菜はほんの少し微笑み、意識を失った。
第一話 終
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