過去ログ - 鷺沢文香「燃える彼女がくれるもの」
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18: ◆i/Ay6sgovU[saga]
2017/01/12(木) 21:26:21.59 ID:xxHx5Jku0

そういえば、茜にボーカルレッスンの光景を見せるのは初めてだ。聞くと、まだレッスン自体をやっていないという。
なるほど、詳しくはわからないが、ボーカルや表現力は一旦見ずにダンスを鍛え上げて、バックダンサーなどのポジションからデビューを狙っていくのかもしれない。

自信がある。とは口が裂けても言えないが、ダンスに比べれば、いくらかは見苦しくないものだとは思っている。
……正確には"聞き苦しくない"だろうか。

軽いウォーミングアップを終えて、歌唱に移る。もちろん自分の歌などないので、トレーニングに使用されるのは様々なジャンルの歌だ。

スローテンポの曲は得意だが、どうしてもテンポの速い曲は苦手だ。しかしこの日は運よく、バラード系の歌唱練習であった。

「〜〜〜〜♪」

抑揚や表現など、教わった内容を意識しながらのレッスン。調子も悪くない。

ふと茜を見ると、いつかのダンスレッスンを思い出すようなキラキラした瞳と、あんぐり開いた口が感想を物語っているようだった。
その次に見たときには、既にレッスンへ向かったようで、茜の姿はなかった。

(少しは……汚名を返上することができたでしょうか)

茜がどんな感想を抱いていたのかは、この後、意外な形で知ることになるのだが。




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