5: ◆saguDXyqCw
2017/01/13(金) 17:41:08.57 ID:wEYB5TOK0
事務所に行く途中に、公園を通った。
その場所からは、公園を通った方が近道なの。
その日は十一月なのに、鼻につんとくるくらい冷えた日で。
だけど空は雲ひとつない青空だった。
都心にある公園だったけど、緑がたくさんある広い公園だった。
遊歩道は、途中で林に入り込むんだ。
紅葉した木々の合間を縫うように曲がりくねった道を、あたしは小走りで進んでいった。
吸う息は肺に冷たく心地よく入って、はあはあと吐き出す息は水面の足跡みたいにあたしの後ろにできては広がって消えていった。
おい茂る枝木に遮られて日の光は歩道に殆ど届かなかった。たまに木漏れ日が地面に光を落とす程度。
だけどね。
林の道の途中で、一か所だけ開けて日がたくさん当たる場所があったの。
真っ白に煌いてるそこには、道の端に木製のベンチが一つ置いてあって。
そこに、その人は座ってたんだ。
財前時子さん。
145Res/158.57 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。